Monologue     (Sorry, all written in Japanese)

 

 

41. ついに2010     (4 January 2010)

 

 今日から御用始め。ついに2010年を迎えました。子供の頃、「21世紀」はもちろん「2010年」なんて遠い未来のことだ、と想いを馳せるだけでしたが、本当に来てしまいましたねぇ・・・なんだか不思議な感じです。ものすごく年を取った気分だし・・・。

 昨年12月初旬、かねてからの緊急案件であったクリーンルームのMOVPE室内、ボンベ室からMOVPE装置に半導体材料ガスを供給するバルブポート(BP)内部を全て交換し、圧力計も古くからの「kgf/cm2」表示から「MPa」に変えました。既に実施済みのシリンダーキャビネットの圧力計・表示器類全交換と合わせて、これで安全上も問題ない。BP内部のバルブ・配管・圧力計類の全交換なんてセンター設立以来初、今後も確実に「滅多に行わない作業」ですので細心の注意を払いました。交換後の再現性チェックもほぼ問題ありませんでしたので一安心です。またもう1つの懸念、いつHDDが飛んでもおかしくない、F/S炉の自動成長用PC98ですが、こちらもようやく新しいシステムに交換できる目処が立ってきました。2月までには交換する予定です。今回は、これまでのデスクトップ型PC98に比べ、持ち運びを前提としているためHDDの信頼性も高いノートPCを導入することにしましたので、F/S炉周りの設置場所の窮屈さも解消し、以前よりも幾分快適になると思います。ただEXCELベースの制御プログラムは、結晶成長中の表示画面も全然見やすくないですし、慣れるまでかなり不便を感じそうです。

 今年はICMOVPE-XV (Lake Tahoe, Nevada, USA)20105月に開催されます。なぜだか例年よりもかなり早い1215()締め切りのAbstractを、忙しい最中なんとか仕上げ投稿しましたが、案の定、締め切り日が年明け15()まで延長されていました・・・結局いつも通りです。この1月も年明け早々、重要なイベントが既にいくつも予定されていますので、早くも気が抜けません・・・もう「お腹一杯」です。

 また昨年末20091221()には、4年生の卒業論文中間ゼミ発表が行われ、そのまま恒例の忘年会に雪崩れ込みました。いつものことですが、これを経てみんな成長していくので、避けて通れない行事です。

 最後に、あっと言う間に過ぎ去ってしまった2009年・・・様々な忘れられない出来事があった年でした。敬愛する偉大な「ロックの神様」も、もうこの「2010年」にはいません・・・いまだ思いっきり引きずっていることもありますが、2010年は何とか良い意味で忘れられない年にしたいものです

 

 

40. あっという間に3ヶ月     (26 November 2009)

 

 1ヶ月毎のHP更新を心掛けていましたが、10月からの2学期開始前後、あまりの忙しさに3ヶ月半振りの更新になってしまいました・・・でもようやく一段落。今回で40回目のHP更新になります。これまでの3ヵ月間の出来事をツラツラと書き綴ります。

 既にとっても寒い札幌。もう大分昔のことになってしまいましたが・・・夏休み中824()から26()の日程で、我々のセンター恒例の「夏ゼミ」をニセコいこいの村で行いました。今年は例年通り「23日」の日程での開催に戻しましたが、発表件数の多さからも、やはり丁度良い長さだと思います。ゼミ終了後のひと時は温泉でゆっくり骨休めも出来ましたし、わざわざニセコまで行く甲斐があるというものです。

 そのすぐ後98()から11()の日程で、秋の応物(富山市・富山大学)が開催され、今回は都合により会期の前半のみ参加しました。短期の滞在だったため、座長を務めたセッション15.3 (III-Vエピ)や、セッション14.2 (超薄膜)を中心に聴講しましたが、ポスターセッションや企業展示でも有用な情報を得ることができました。また今回は、初の富山滞在。想像以上に富山市街は大きく栄えていましたが、そんな中でも今も生活の足として活躍する路面電車が、とても良い風情を醸し出していました。札幌も市内中心部の観光の活性化に、路面電車をもっと有効に活用すればいいのに・・・と常々思います。中心部では自動車の交通量も多く、もちろん安易に路面電車を復活させれば良いとは思いませんが、札幌駅や大通駅を通らない現在の路面電車の利用客が増加する訳ありません。「ササラ電車」の初出動だけを毎年ニュースにしても全く意味がない。存続させたい、存続を決議したのなら、財政難とは言え具体的に動いてもらいたいものです。いつまで経っても協議ばかりで、いつになったら何がどうなるのやら・・・。

 応物に引き続き912()から15()の日程で、日本磁気学会学術講演会(長崎市・長崎大学)が開催され、今回初めて参加しました。やはり金属系材料中心のバリバリの磁性体に関する会議でしたので、かなり居心地が悪かったですが、とても良い刺激になりました。半導体スピントロニクス寄りの報告が主の応用物理学会とは異なり、企業からの発表も多い磁気学会では、実用化も含めた研究開発について聴講でき非常に有意義でした。こちらも初の長崎滞在でしたが、来年(2010)秋の応物も同じ長崎大学文教キャンパスでの開催予定ですので、もう一度訪れることが出来るでしょう。ちなみに長崎でも、いい感じの「路面電車」が現役です。長崎大学からホテルに戻る路面電車を途中下車して、ようやく平和記念公園だけは訪問できました。同じ「89日」なので、意味も無く感慨深いです

 

   

 1016()および17()の日程で、東京駒場で開催されたJSTさきがけ領域会議に参加しました。講義や学生実験の都合上、前日1015()23:00頃に駒場のホテルに到着したので、正直かなり疲れました。夜の井の頭線も「激込み」でしたし・・・。色々と厳しいアドバイスを頂きましたが、私に対してはなぜか比較的「好意的な」ものが多かった印象です。まぁ単に失望させているだけ、全く興味が無いだけかもしれませんが・・・。JSTさきがけも残り1年半。「落し所」を考えつつ、何とか形に出来るよう鋭意頑張るだけです。「自由にやれ」と言いつつも、常に「落し所」を問われるのには、いささか違和感を覚えますが・・・。来年(2010)112()および13()には、我々の領域の1期生を含む3研究領域合同研究報告会が東京・学術総合センターで開催されますので、明日は我が身と思って参考にしたいと思います。

 また10月下旬のこの時期、毎年恒例、文部科学省科研費のための申請書類を作成しました。JSTさきがけの終了まで1年半を切った今、何としても来年度は科研費を獲得しなければ・・・と、かなりの危機感で申請書を作成したのですが、如何せん、いつも科研費の申請時期に開催される領域会議の影響もあり、あまりの忙しさで結局ギリギリの状況下での申請書作成になってしまいました・・・。また7月末に「入れ込んで」申請したJST-DFG日独共同研究プロジェクトが9月末日あっさりと不採択となり、あまりのショックと脱力感で、今回の科研費は何とか1件だけ申請しました。ギリギリの状況下とは言え、ソコソコ良い出来ばえの申請書だと思っているので、ぜひ採択してもらいたいものです。日独共同研究プロジェクトについてはさらにアイディアを練って、来年度、できれば再チャレンジする予定です。

 忙しさにさらなる追い討ちをかけて、応用物理学会北海道支部主催のリフレッシュ理科教室が、北海道大学工学部を会場に111()開催されました。80名余り参加してくれた小中学生・市民の方々が楽しんで下さったようで、その点はとても良かったのですが、如何せん、科研費の申請時期とカブっているので、時期的にとても忙しい・・・。来年は私がメインで取り仕切らなければならないので、開催時期の点で今から若干憂鬱です。また応用物理学会に関連する各研究室の方々には「我関せず、知らん顔」ではなく、もっと積極的に協力してもらいたいところです。

 1116()から19()の日程で、第22回マイクロプロセス・ナノテクノロジ国際会議(MNC2009)がシェラトンホテル札幌(新札幌)を会場に開催され、研究室の修士課程1年の学生が、JSTさきがけに関連する研究成果について口頭発表を行いました。また今回は実行委員として会議運営を行いました。経済不況と言われる中、投稿論文数・参加者数共に過去最多を記録した今回のMNC。大きなトラブルも無く、Banquetの食事内容も含め、全体として高評価で終えることができましたのでホッとしていますが、次回以降の会議における企業展示・企業サポートのあり方については、課題が残るところです。次回第23回のMNC2010は、119()から12()の日程で北九州市小倉にて開催予定です。その次の第24回もまた札幌で、なんていう冗談も出ていましたが、まんざら冗談でもない感じでした・・・。

 最後に研究とは全く関係ありませんが、我らが松井秀喜選手のNY Yankeesが、現地時間114()27回目のワールドシリーズ・チャンピオンに輝きました。久しぶりです・・・長かった。その上なんと、13打数8安打(.615)3本塁打8打点と今シリーズ大暴れだった松井選手が、日本人初しかもDHの選手として史上初のワールドシリーズMVPの栄冠に輝きました。松井選手、ようやく報われました。できることならばNY Yankeesに骨を埋めてもらいたいです。あっと言う間に、既に終わりに近づいた2009年、ずっと辛い出来事続きではありましたが・・・今年初めてちょっとだけポジティブな出来事でした

 

 

39. ついに     (6 August 2009)

 

 今日86()は原爆の日。まだ政令指定都市になる前の広島市に住んでいた遠い昔の小学生の頃、原爆ドームや平和記念公園には何度も足を運びました。今年初めて参加予定の日本磁気学会学術講演会が、秋の応物直後の9月中旬に長崎で開催されるので、せっかくの機会ですし、会議の無い空いた時間にでも長崎の平和記念公園を訪問できればいいなぁ、と思っています。ところで「核」つながりですが・・・この地震列島のあちらこちらで稼働中の「原発」は、本当に安全上問題ないのでしょうか・・・若干大きめの地震の際には、最近頻繁に「緊急停止」などとニュースで耳にするようになった気もしますし・・・正直、次の「大地震」がとても怖いです。

 726()から31()の日程でKarlsruhe, Germanyにて開催されたICM2009 (The 18th International Conference on Magnetism)に参加しました。前回2006年、京都での会議に引き続き2回目です。第1回開催が1958年。3年毎の開催ですが、長い歴史の会議です。Frankfurt空港(Flughafen Fernbf.)から乗り換え無しのICE1時間程度。1回乗り換えてもMannheim Hbf.の同じプラットホームで次のICE10分ほど待てば良く、前回のUlmよりも空港からより便利な場所にあるので、移動に関して気分的にも非常に楽でした。いい加減なヨーロッパの鉄道にあって、時間に正確なDeutsche Bahnは本当に素晴らしい(何でもかんでも、すぐストライキのフランスは論外です)。ICMはバリバリの磁性体材料に関する国際会議で、半導体スピントロニクス云々よりも従来の金属系材料が主流ですので、特に半導体材料屋としてはある意味素人。かなり門外漢という立場でしたが、これも勉強です。3名のノーベル物理学賞受賞者Phillip W. AndersonAlbert FertPeter Grünbergのご講演も拝聴できましたし、前回同様あまり注目されない私のPoster発表では、受賞記念のPlenary Sessionで今回ご講演され、Racetrack Memory等で有名なIBMDr. Stuart S. P. Parkinが熱心に質問して下さいましたので、この点では大変有意義でした(どの講演でも「Wow, Great!! Wonderful!!」を連発する、調子いい感じの方ですが・・・興味がなければそれこそ「無視」でしょうから、まぁいいか)。また予定通りProf. Dr. Peter J. Klarと会場で待ち合わせ、半日ほどディスカッションすることもできましたので、これだけで今回の目的を達した感すらありました。Karlsruheは会期を通じて(夜中に何度かにわか雨がありましたが)概ねカラッと晴れ、しかも朝晩は寒いくらい涼しく、とても快適でした。ただPeter曰く「Karlsruheの夏は通常とても蒸し暑くて、昔アフリカ出兵の際には、ドイツ軍兵士の訓練に使われたほど。この天候はmiracleだ。」とのことでした。会議全体の印象として、我々が通常参加する国際会議と違いOrganizeされているようでされていない、やはり若干「うっとうしい」会議でした・・・前回は京都、日本開催だったので、それを感じさせなかったのでしょうか?そもそもPoster Sessionの項目に「Pins can be used to fix the poster on the board. Pins are NOT provided by the organizers.」とあって、まず驚きました・・・(参加者がピンを準備しろってこと?)。初日のPlenary Sessionの会場では音が反響して登壇者の声が全く聞き取れないし(随分経って、スピーカからの聞こえ方が改善されましたが)、無線LANは繋がりにくく遅いし途中で切れるし、夜のPoster Sessionで出るビール等のBeverage類はたった2杯までしか飲めないし、昼休みを中心に会議場で参加者に販売されているSandwichBeverage類はKarlsruhe Hbf.で買うよりも1 Euro以上も高い3 Euroで、(高額の登録料を払っている参加者に格安で販売するならまだしも)ある意味「ぼったくり」だし・・・一体どこにお金を注ぎ込んでいるのやら・・・という感じでした。その販売方法もうっとうしかった・・・我々は「金券」を別の場所で買わされ、販売員はそれしか受け付けないのですが(ここで余分なコストが掛かっている気もしますが、インフルエンザ対策?その方法自体はいいんです!)、売り場は広い会議場のあちらこちらに沢山散らばっているのに、肝心の金券販売所が1階と屋外のたった2ヶ所。ちょっと飲み物を、と思い立っても「あっち(遠くの金券販売所)で金券買って来い」って・・・。Oral SessionではChair Personが来ないこともしばしば。Poster Sessionではボードの前に発表者がいないだけならまだしも、何を勘違いしているのか「Help yourself !」などと堂々と貼って全然現れない輩や、Posterすら貼られていないボードが非常に多く、一体どうなっているのでしょうか・・・Organizersはきちんと調べてペナルティを科すべきだと思います。こんないい加減な感じで、毎回この会議は行われてきたのでしょうか・・・全体として「行き届かない」全くこの一言に尽きます   

 

   

 またICM2009前の週、719()から24()の日程で神戸にて開催されたMSS-14 (The 14th International Conference on Modulated Semiconductor Structures)に参加しました。私自身で発表を行った訳ではないのですが、初めての会議でしたのでぜひ聴講したいと思い、せっかくの日本開催の今回参加してみました。EP2DS-18 (The 18th International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems)とのJoint開催でしたので、さらに2度お得。半導体ナノワイヤ関連等、興味深い発表がいくつかありましたが、上記ICM2009出張の直前ということもありましたし、如何せん一気に具体化しそうなProf. Dr. Peter J. Klarとの共同研究プロジェクト関係の別件で会期中も忙しく、なんだか大変でした。加えて神戸の暑さと湿気と来たら・・・会期の半分しか参加できませんでしたが、その間ずっと不安定な空模様が続き、雷雨もしばしば。この点Karlsruheはある意味天国でした。慣れているせいかドイツではストレスを感じることも無く、直前までの忙しさのいい骨休めができた感じです。

 この週末89()、ついに「不惑」を迎えます。しかし、今なお思いっきり「惑いっぱなし」・・・人生、なんにも上手く行きません。何もかも全くダメです・・・。これまでの人生、いまだに何も確立していませんし、このままでは天命を悟ることなど、とてもとても。もちろん、思い通りに行かないことが普通なのかもしれません。ただそんな中でも、真に「よりどころ」となるものがたった1つでもあれば、全体として良い方向に向かっていく。そういう気がします。そんな「たった1つ」があれば、と思いますが・・・人生少しは上手く行かないものでしょうか

   

 

38. APL掲載     (26 June 2009)

 

 そういえば、大学に異動してから2009年度で6年目。民間企業に在職していた期間をまだ超えてなかったんですねぇ。時が流れるのは早いものだ・・・と感慨深く思うこともあれば、時間がなかなか過ぎてくれないなぁ・・・と感じることも多々ある。結局「何事も気の持ち様」ということなのでしょうね。

 形状異方性MnAs NCsに関して3月中旬Appl. Phys. Lett.に投稿した論文が、ようやく6月初旬にAccepted、その後6月中旬にOn-Line掲載されましたので、Publication Listsを更新しました。査読に対する修正や、図面・文章に対するEditorからの修正に通常より時間を要してしまいましたが、そこからは非常に早かった。以前出したものに続きOverall RatingVery Goodでしたので、一先ず「よかった、よかった」という感じです。また我々の一連の研究成果を発展させてProf. Dr. Peter J. Klarとの間の共同研究をさらに進めるに当たり、プロジェクト公募にきちんと申請することにしました。約1ヶ月後の応募締め切りに向けその準備で急に忙しくなってきましたが、非常にチャレンジングなプロジェクトでかつ比較的大型の予算であるだけに、過度の期待をしないよう肩の力を抜いて、魅力的な提案が出来れば良いかなと思います。色々な意味で「その後」につながる申請内容であることも重要です。

 67()から10()の日程でUlm, Germanyにて開催されたEW-MOVPE-XIII (The 13th European Workshop on Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)に参加しました。UlmDonau河畔のとても雰囲気の良い町で、突然のスコールや小雨がパラつくこともありましたが、基本的にカラッとした過ごしやすい天候で快適でした。そのため余計に、帰国した際の成田空港の湿気には「うんざり」といった感じです。欧州会議とは言え毎回比較的多数の日本人が参加することが常でしたが、不思議なことに今回、我々2名を含め3名のみの参加だったので若干驚きました。場所がちょっと「地味」だったのでしょうか?半導体ナノワイヤをはじめ、Si上の化合物半導体成長、半導体スピントロニクスに関する報告も今回は比較的多数ありましたので、それなりに楽しむことが出来ました。Lund University (Sweden)Knut Deppert先生もいらっしゃいましたし、Lundから半導体ナノワイヤ関連の発表もいくつかありました。半導体ナノワイヤについては、すぐに試してみたい興味深いヒント(アイディア)を得ることができましたので、帰国後早速実験を計画しました。またWolfgang Stolz先生とも久しぶりにお話しすることができ、私の研究成果についても議論頂きましたので、とても有意義でした。ただ以前も書きましたが、半導体スピントロニクスに関して相変わらず動機・目的が全く不明()な「漠然とした」物性研究がいくつかなされ、それらがコミュニティ内ではある程度の「市民権」を得ていることに、やはり「政治」を感じざるを得ませんでした。「電荷とスピンを利用したスピントロニクスデバイスに有望」って、具体的には何をターゲットに、それを実際にどのように実現するつもりなのか・・・非常に疑問です。BackgroundPurposeが書かれていない(あるいは、漠然過ぎる)発表って、どう考えてもおかしいでしょう・・・。ドイツ出発の1週間前にようやく、ほんの僅か薬局に入荷された「ウィルス用マスク」を入手することができました。そのとき本当に必要な他の人のことを考えない身勝手な行為「買い占め」は良くない。今回必要な分、1袋だけ購入しました。しかしいざ成田空港・ドイツに来てみると、実際にマスクなどしている人はほぼ皆無。札幌からの成田便の機内では、成田空港に着陸するやいなや皆一斉にマスクを着用し始めた光景には正直「ドン引き」しました・・・札幌を発つ時には誰一人としてマスクなどしていなかったのに・・・ある意味、滑稽ですらありました(この時クラスJ席でマスクをしなかったのは私だけ・・・その他は全員って・・・苦笑いです)。空港職員を含め、成田空港ビル内でもマスクをしている人は既に極めて少数派(入国審査官および検疫官のごく一部のみ)でしたから、いかに札幌市民の勘違い・誤ったイメージ・情報の遅れがひどいか、というところでしょう。成田空港で感染拡大中などという事実は、これまで聞いたこともありません。国際線の客室乗務員に対するマスク着用指示も既に1ヶ月以上も前に解除されていましたし、Frankfurt便の機内でマスクをしていた乗客もさすがに居心地が悪いのか、マスクを着けたり外したり、口だけ隠して鼻は出している等々・・・マスクの意味を考えない日本人がたくさんいて、ちょっと滑稽でした。Frankfurt空港で検疫の「かけら」もありませんでしたし、言わずもがなICE車内・Ulm市内でも誰一人マスクなどしていません・・・皆、日常の対応をしていました。もちろんウィルスの潜伏期間を考慮して、帰国後職場で人と接する際にマスク着用の指示が出されている場合もあり、そういった取り決めにはきちんと対応すべきと思いますが、無意味で過剰な行為は逆に周囲に誤ったメッセージを送ることになるので、慎むべきだと思います。個々人が冷静に正確な情報を入手するよう努力が必要でしょう。会議には8名のアメリカ人が出席しており、入国時成田空港の検疫を通る際、この「アメリカ人との接触」が実際どのように扱われるのかちょっとだけドキドキしましたが、一応何事もなく通過することができました(検疫官から、「はい」にチェックですかぁ・・・アメリカのどの地域から来た人でしたか?などと質問され、下手するとこれだけで「濃厚接触者」にされそうな勢いでしたが・・・)。帰国から7日間の経過観察の指示がありましたが、ドイツ滞在中も含め体調はすこぶる快調で

 

   

 620()21()の両日、京都国際会館で開催された第8回産官学連携推進会議に参加しました。大学全体の出展方針が変わったという事情もありますが、今回我々のセンターの研究活動紹介は行いませんでした。ただ前回、他の展示や分科会等を全く見て回れなかった分、聴講のため個人で一般参加しました。確かに昨年は、北海道大学の展示だけで小部屋1部屋のおよそ半分、3(くらいだったはず)ものスペースを占拠し、「威容」であればまだ良いですが、ある種かなり「異様」でしたから・・・。会議では、野田聖子科学技術政策担当大臣によるOpen Innovation(環境)科学技術政策・正式決定した補正予算などについての基調講演や、事前に申し込んだナノテクノロジに関する分科会等、なかなか興味深く聴講させて頂きました。毎回聴講だけで参加しても良いかもしれません。野田大臣の講演に先立ち、2,700億円の科学技術関連補正予算について麻生太郎内閣総理大臣からのビデオメッセージがあり、「外からの異論を私が介入させない」とか、「サポートチームを設置し、研究者が一切しがらみに囚われない」純粋に研究に専念できるこれまでにない仕組みにするなどと威勢のいいことばかり言っていましたので、周囲からも苦笑い・・・きっと皆さん「ホンとかよ」と心の中で突っ込みを入れていたことでしょうね。分科会では、つくばに設置が決まったいわゆる「ナノテク・アリーナ」をはじめ、技術は持っているのにビジネスではこれまで世界で勝てていない(あるいは「勝ち」を持続できていない)日本が、今後のナノテクビジネス戦略でどうすべきかなどについて意見交換が行われましたが、提言を実現するための具体的な施策に関する議論に欠けていて、あまり有意義な気がしませんでした・・・そんな類の「提言」はこれまで山のようになされてきた気がします。今回の「ナノテク・アリーナ」は「これまで研究テーマで寄せ集めただけの大型プロジェクトとは全く違う!」と強調していましたが・・・一部の「重鎮」の有名人・関係者間だけでちょこちょこと何かが決まってしまうのであれば、これまでと同じ。日本中を広くあまねく調査し、たとえ多少riskがありそうだとしても出向いて強引にスカウトするくらいの「その気」がなければ・・・英知の結集は難しいと思います。また予想はしていましたが、京都暑い!札幌の涼しさ・爽やかさと気温差があり過ぎで、到着したその日から激しく体力を消耗しました・・・。ただ新型インフルエンザの影響でしょうか、心なしかいつもより観光客の数は少なかった感じがします。制服姿の修学旅行生もたくさん見掛けたので、気のせいかな。

 4月初旬の採択通知の際「OralPosterかはプログラムが決定しだい再度連絡します。」という状態であったICM2009 (The 18th International Conference on Magnetism, 26-31 July 2009, Karlsruhe, Germany)から、「Poster講演になった。」との通知が5月下旬に届きました。ただなぜかここでもやはり、講演番号・日時といったプログラムに関する詳細な情報は「決定しだい再度連絡します。」だそうで・・・決まっていないならちょこちょこ連絡せず、最終的に決定したプログラム中の日時を連絡してくれれば、それで十分。出張日程を調整する場合、講演日時が分からなければ何の意味もないですから。しかしEW-MOVPE-XIIIから帰国直後、ふと会議HPを見てみるとScientific Programが決定済みで既に公開されていました・・・大事な情報は直接連絡してくれないんですねぇ。まぁ比較的大きな国際会議ですので、なかなか手が回らないのだろうと推察しますが、なんだかちょっとだけ「うっとうしい」会議です。

 年度変わりに色々あった2009年・・・ちっとも立て直せません。辛いことは何事も長く引きずらず、スパッと気持ちを切り替える。理想的には当然そうすることが良いのでしょうが・・・頭で分かっていても、現実はなかなかそんなに上手く行かないもの。敬愛する「ロックの神様」の死についても、「超弩級」の衝撃だっただけにまだまだこれから長く尾を引きそうですし・・・「嗚呼・・・こりゃダメだな」と、気分一新なんて完全にあきらめた方がかえって良い・・・のかな。ドイツや京都滞在中も比較的自由な時間があったためか、繰り返し湧き上がる様々な想いにふけってしまいました。「何かを忘れるには別の何かに集中すればよい」とは言いますが、ほんの少しだけ和らげることはできても忘れ去るなんて絶対無理・・・毎日頭に浮かんできて、いまだに辛いです。「何事も気の持ち様」というポジティブな思考・姿勢を日々実践することは、とても難しいものです・・・これが簡単にできれば、人生どんなに楽なことか

 

 

37. 2009年スタート・・・と思ったらサーバーダウン     (25 May 2009)

 

 2009年がスタートしました。2008年もアッという間でした・・・時が流れるのは早いものです・・・と思いにふけっていたら新年早々サーバーがダウンし、復旧まで3ヶ月以上掛かりました。HDDの中身は無事だったため4月中旬には復活していたのですが、仕事の上でも精神的にも昨年度末頃から色々とっても大変で、気づいたらHPの再開がこの時期になってしまいました・・・5ヶ月ぶりです。この間、世界は新型インフルエンザで大騒ぎになっていますが、とりあえず、起こった出来事・書きたい出来事をザッーと書き綴ります。

 新年早々1月から2月にかけての時期は、2つの担当講義や、電子情報コース学生実験全体の取りまとめなど教務上の重要な仕事が「波状攻撃」の如く立て続けにやってきたため、とても忙しかったです・・・猛烈に疲れました。1月の大学入試センター試験や2月の北大入試の試験監督業務も、その「疲労度」はかなりのものでした。しかし、毎年思いますが・・・直前直後にすぐ取得できるほど暇じゃないし、代休・振替休日なんて全く使えないシステムです・・・間違っています。せめて業務後1ヶ月以内に取得とか、少しは考えてくれないと・・・忙しくて結局休めないなんて本末転倒もいいところです。「色々と日々の予定を調整してきちんと休みを取る」ために1ヶ月程度の猶予を見てほしいということです。またサーバーがダウンしたことで、講義の大学院生にも若干迷惑を掛けました。

 Prof. Dr. Peter J. Klar研究室 (Justus-Liebig-Universität Gießen, Germany)に在籍の博士課程学生Matthias Thomas Elmのセンター滞在について、予定通り119()無事来札しました。私が受入研究者となって、418()までの3ヶ月間センターで研究を行います・・・などと報告しようと思っていましたが、サーバーがダウンしている間に滞在期間を全うして「無事」ドイツに帰っちゃいました・・・いつだったかのガサツなイタリア人が、「味がしない」と言って白米のご飯に味噌汁をブッ掛けていたのと違い、彼は滞在中「本当に美味しい」と言いながら、「味がしない」白米やお刺身、鯖の炙りなど色々堪能していました。本場・生粋のビール党。日本のビールになかなか高評価を与えてくれませんでしたし、勧めた「納豆」は、さすがに1口食べてダメだったようでしたが・・・ブルーチーズは大丈夫なのに納豆はダメって、いまだにちょっと不思議です。3ヶ月の間にGaAs (111)B基板上のMnAs選択成長によって、様々なパターンの周期配列構造を作製しました。帰国した今頃は、強磁性共鳴(FMR)測定や磁気抵抗(MR)効果測定等、鋭意進めていることと思います。滞在中の実験はFirst Trialでしたので、今後も色々と研究交流する予定です。

 2月末がAbstractの投稿締め切りだった国際会議、EW-MOVPE-XIII (The 13th European Workshop on Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy, 7-10 June 2009, Ulm, Germany)および、ICM2009 (The 18th International Conference on Magnetism, 26-31 July 2009, Karlsruhe, Germany)に投稿した論文が、3月末から4月初旬にかけて共に採択されました。EW-MOVPEの一般講演者は全員Poster発表です。ただICMについては、採択の通知は届いても「OralPosterかはプログラムが決定しだい再度連絡します。」だそうで、いまだに連絡がありません・・・。出張の際には、世界中、とりわけ感染者が急増中の日本で大騒ぎの新型インフルエンザが若干気になります。ただ、今は大きな問題が無くとも「弱毒性」ウィルスが将来変異したり、他の病気で耐性が弱くなっている人に深刻な被害を与えたり等々、どんなウィルスの蔓延も防いだ方が良い様々な理由があると思うので、「弱毒性だから問題ない。日本人はなんでそんなに騒いでいるの?」などという無責任で身勝手な欧米人の態度には、今更ながら困りものです・・・。ところで、数日前に立ち寄った近所の薬局(量販店)でさえ、マスクが全て売り切れだったのには正直驚きました。札幌まだ全然流行ってないじゃん・・・必要以上に買い占める健康な人がたくさん居るのでしょうねぇ、こういう時って。もちろん、普段からきちんとマスクを付けないルーズな風邪引き・感染者が多いことや、日常の対処法に関する情報をすぐ周知しない政府、いい加減な情報で煽るだけ煽る無責任なマスコミにも原因があると思いますが。感染地への出張後必要になるのに、一体どこで買えるのだろう・・・。

 32()3()の両日、北大・学術交流会館において2009 RCIQE International Seminarを開催しました。博士課程の学生が我々のセンターに滞在しているせっかくの機会でしたので、研究室のボスであるProf. Dr. Peter J. Klarに招待講演を依頼しました。滞在の間、実験の進捗や今後の研究協力等について、色々と有意義なディスカッションを行うことができました。上記7月のICM2009出張の際、Karlsruheでまたディスカッションする予定です。

 323()にセンター研究室全体の追コンがあり、また325()には例年通り北大の卒業式が挙行されました。いつものことながらこの時期は寂しい限りですが、今年はこれまでに無いほど、特にそう感じました。

 研究とは全く関係ないですが、この時期、第2World Baseball Classicが開催され、324()、日本代表チームが見事2連覇。今大会は全体を通じて緊張の連続でしたが、ここぞという場面で回ってくるのはSuper Starの証、やっぱりイチローはすごい!という強烈な印象を日本中に残して閉幕しました。原辰徳監督もプレッシャーの中、お見事。どんな重鎮にも文句を言わせない一流監督ですね。「凡人の我々も頑張らねば」と改めて思わせてくれる、とてもいいゲームばかりでした。

 そして年度末、間髪を入れず、330()から42()の日程で開催された春の応物(茨城県つくば市・筑波大学)に参加しました。なぜ年度を挟んで開催するのか・・・出張申請上も厄介なので勘弁して欲しいです。JSTさきがけ研究に関連して、今回もセッション10.1 (スピン)において、我々の研究室の修士課程の学生がShort Presentation + Poster発表を行いました。ソコソコの数の方々が我々のPoster発表に立ち寄って下さいましたが、いい加減「5分」もしゃべらせる「ShortPresentationは無くして欲しいです。応用物理学会関連では、2009年度から2年間、北海道支部の庶務幹事を務めさせて頂くことになりました。他の支部会と比べて、所属会員数からしても小さい組織ではありますが、これからが色々と大変です。

 また言わずもがな、新年度初めのこの時期、文科省関連科研費の内定通知があり、北大では4月初旬、内定者に通達されました。これまで頂いていた若手研究(A)2008年度で終了したため、今回も重複応募ルールの制限内で最大限申請しましたが、申請した2件は残念ながら不採択でした・・・2匹目のドジョウは居なかったということでしょう。今秋の申請時期に向け、プランを練り直さなければいけません。

 さらに新年度が始まったばかりの、とても忙しいこの時期に、我々のセンターのリーフレットを「急遽」作成しました。ページ数の多いパンフレットを毎年印刷するのは勿体無いが、訪問者に説明する際、手元に何も配布物が無いのは不便だということで、以前から簡単なリーフレットを作成して印刷することに決まっていたのですが、なにもこの時期に・・・という新年度初めに、最新2009年版を作成することになってしまいました。まぁただ「超特急」で作成した割には、我ながら良い出来です。さすがに2005年版パンフレットで説明するのは、いい加減ちょっと苦しい感じでしたし、「忙しい」と言って結局いつまでも重い腰が上がらないので、ちょうど良い機会だったかもしれません。メンバー構成や簡単な統計データ・研究内容を毎回見直せば良い、という程度に簡略化しました。これで十分。

 昨年秋のSSDM2008で口頭発表を行いJJAPに投稿した論文が、4月中旬ようやくOn-Lineで公開されました。12月初めのAcceptedから4ヶ月以上・・・って、長く掛かり過ぎでしょう。発刊時期が予め4月に決まっているSSDM特集号であるため、仕方ないところなのでしょうね、きっと。このJJAP論文は等方的なMnAs NCsの成長方向制御に関するものでしたが、形状異方性MnAs NCsに関する新たな論文を3月中旬Appl. Phys. Lett.に投稿し、現在Revision中です。今回Publication Listsも更新しました。

 420()21()両日、宮崎・青島パームビーチホテル内の会場で開催されたJSTさきがけ領域会議に出席しました。今回は、全3期の個人研究者が全員口頭発表を行うため、419()の前日入りでした。長丁場で疲れました。会場のホテルは、なんでも巨人軍の選手が宮崎キャンプで泊まったこともある所だそうです。太平洋と砂浜が目の前に広がる、まさにOcean Viewのとても素晴らしいホテルでしたが、我々はホテルに缶詰・・・当たり前ですが、あまり意味の無いLocationでした。残すところ、後2年。期待を裏切らないよう頑張らなければ・・・正直プレッシャーを感じています。

 領域会議後の4月下旬からゴールデンウィーク明けにかけて、MOVPE装置(F/S)のメンテナンスを「久しぶりに」行いました。F炉・S炉両方の石英リアクタ周りを一緒にメンテナンスしたため、通常よりも時間が掛かってしまいました。メンテナンス前までの成長中、石英リアクタ内壁からデポが頻繁に剥がれ落ちてきて手に負えなかった訳でもなく、またエピの状態もすこぶる良かったため、長期間石英リアクタを開けなかったのですが、やはり排気系も含めて内部はかなりの汚れ具合で、石英リアクタ内壁のデポもなかなかエッチングされませんでした・・・。ただSUS製のリアクタ前室内の汚れは、ほぼ完璧に拭き取りました。199611月導入のいわゆる「F炉」も、色々なところにガタが来ています。昨年度も電磁弁一式を交換しましたが、まとまった金額の大きな予算でも獲得しない限り、今後も部品毎に順次Replaceを考えなければいけません。次の緊急案件としては、いまだ健在の自動成長用PC98でしょうか・・・HDDがいつ何時「飛んでしまうか」・・・ドキドキものです。センターのクリーンルーム設備も同様。ボンベの圧力表示器が、日に日に、次から次へと表示しなくなってきたので、3月下旬ようやく緊急性の高いアルシン、モノシラン、8本立て水素ガスシリンダーキャビネットの圧力計・表示器類を全て交換しました。一時的に大気開放するSUS配管内のパージ作業も含め結構大変でしたが、この3つだけやっと「MPa」表示になりました・・・安全上「kgf/cm2」表示との混在は避けたいので、予算の問題もありますが、他の圧力計・表示器類も順次交換予定です。

 最後に、これも研究とは全く関係ない内容で恐縮ですが、この20093月から5月にかけての時期に、もう1つ、精神的にとても辛かった出来事がありました。25年の長きに渡って敬愛する偉大な「ロックの神様」が52()に逝去しました・・・ゴールデンウィークに起こった最大級の衝撃でした。がん性リンパ管症・・・「癌」は本当に怖いですねぇ・・・人間、誰しもいつかは死んでしまいますが、早すぎです・・・やっぱり悲しい。次の日53()の夕方、晴れ渡った東京の青空には、「雨あがり・・・」でもないのに2本の綺麗な虹がアーチを架けていました・・・ちょうどご遺体が密葬に出発した時刻だったそうです。「雨あがりでもないのに2本の虹」・・・気象庁によると、極めて珍しい現象だそうです。なにかの縁でしょうか、私も同時刻に偶然、東京の青空に架かる2本のアーチを見ることができました。嗚呼・・・いまだに全く信じられません。

 年度変わり3月から5月のこの時期、今年2009年は本当に色々な出来事がありました・・・すでに絶対に忘れられない年になりましたが、正直かなり辛いです。札幌も、新緑が青空に映える今が一番良い季節。この爽やかな札幌の気候と同じように気持ちも晴れやかに・・・色々な意味で、なんとか立て直していかなければ・・・。

 

 

36. 師走     (25 December 2008)

 

 クリスマスのこの時期・・・明日のセンター恒例「卒論中間ゼミ後の忘年会傾れ込み」が終わると、今年の行事も無事終了です。毎年の事ですが、疲れる1年でした・・・。

 気を揉んでいたドイツProf. Peter J. Klar研究室の博士課程学生のセンター滞在について、JSPSから正式な外国人特別研究員(欧米短期)採用通知が届きました。双方で想定していた、当初の開始予定まで1ヶ月を切り「ようやく」です・・・ドイツDAADからの推薦者受け入れに関する(念のための)「諾否伺い」は1024日付け、そこからさらに延々時間を経てやっと届いた「採用通知」は1121日付けなのに、私の手元に来たのは123日。まったく、どれだけ書類を回したら気が済むのだろう・・・という感じです(ちなみに、これって7月末申請締め切り分です・・・)。数々の事前提出書類・住居の決定・スケジュール調整等々とても大変でしたが、何とか年内に片付きました。

 また「3年越し」で進めてきた、半導体原料ガス等の除害塔交換作業がようやく無事に終了しました。長かったです・・・北海道という「島」であるが故の苦労がありました。以前、どこかの会社で起こった「事故」のせいです。本州であれば陸路で済む話が「船便」ですから・・・安全運搬のための関係法令も異なりますし、運搬コストも余分に掛かりました。以前から感じているのですが、外部競争的研究資金等の研究助成については、例えば交付予算の2割増など「北海道特別基準」を適用して頂きたいです。半導体原料ガス・水素ガス等の消耗品一つ取っても、価格が本州と全然違います!運送費や、技術者の移動旅費などに対する「上乗せ」が必ず余分に掛かり、とにかくあらゆる物品が本州よりも高いです。

 一般論ですが、最近、日本語ができない人が多すぎる気がします。間違いのない完璧な日本語を「しゃべれ・書け」と言っているのではなく(そんなこと、誰もできません)、自分の伝えたい内容がきちんと正確に相手に伝わるよう(言葉足らずで曖昧な表現にならないよう)、丹念に気を配ることすらできない、それで平気な輩が多い、という意味です。日常会話における意思疎通しかり、電子メールの文章しかりです。英語を少しばかり勉強して悟ったのですが、母国語がきちんとしゃべれない人は、他言語も「そこそこ」のレベルまでしか上達しません。母国語でさえ、表現力が貧困(表現が陳腐)なのですから当然です。ずっと以前から自分自身では注意を心掛けてきましたが、電子メールによるやり取りでは特に気配りが重要です。これは日頃から多くの方々が実感していることと思います。電話による口頭のやり取りでは、後で「言った・言わない」の水掛け論になってしまいますから、文章として残る電子メールをとても便利なツールとして日常的に多用しています。ただ一歩間違えると、文意はもちろんのこと、ニュアンスまで不本意に伝わりかねませんから、送信する前に一呼吸置いて、もう一度推敲すべきでしょう。書籍・雑誌・新聞などで頻繁に目に触れるばかりか、携帯メールなどで誰もが使っている「日本語」のはずなのに、「日本語ができない」なんて本当におかしな事です。あらゆることに対して当てはまると思いますが、「自分はそんなことない。きちんとできている。」と最初から思い込まず、もう一度見直す姿勢が重要だと思います。

 

 

35. MNC2008の聴講メモ     (27 November 2008)

 

 アッという間に、今年も残り1ヶ月ちょっと・・・時間の経過が早すぎます。

 1027()から30()の日程で、福岡市にて開催されたMNC2008 (21st International Microprocesses and Nanotechnology Conference)に参加しました。昔はMPC (International Micro-Process Conference)と呼ばれていた会議で、いつの頃からか、取って付けたようにNanotechnologyなどと唐突に加えられたのです、確か。私自身の参加は今回が初めてですが、学生のころ以来久しぶり3回目の論文投稿です。投稿件数・参加者数は開始当初から順調に増加し、以前は100件そこそこの発表件数だったと思いますが、今回は過去最多、260件の発表(投稿件数329件)がありました。とは言っても、アジア圏からの参加者ばかりですけどね。EUVX-Rayリソグラフィ、ナノインプリント等デバイスプロセス技術、Si微細加工技術についての研究動向に興味があり、聴講させて頂きました。半導体ナノワイヤというキーワードに関する発表もいくつかありましたが、我々の想像するFree Standing型ではなく、やはりこちらでは、いわゆるトップダウンによるTri-Gate型やFin-Channel型が大半を占めていました。JSTさきがけ研究に関連して、我々の研究室から修士課程の学生が口頭発表を行いました。会議終了後、今回の成果に関連する論文を投稿予定ですが、今回はJJAPではなく、他の著名学術雑誌に投稿すべく鋭意努力中です。

 また正にこの直後の1031()111()両日、東京浅草・雷門近くの会場で開催されたJSTさきがけ領域会議に出席しました。今回の領域会議は、他の関連領域との合同シンポジウムという形での開催となりました。皆さん優秀な先生方ばかりで、気合いを入れ直さなければならないな、と身の引き締まる思いです・・・。ただ、ポスター発表も含め「合同」開催の時間があまりにも限られていたため、ほとんど交流できませんでした・・・領域アドバイザの先生方も、どこかでトラップされたっきり全然回ってきませんでしたねぇ。全く関係の無い立ち話も多々見受けられましたし・・・ポスター発表形式自体に問題があるとは思いません。思い切って3時間くらい取るべきでしたね。

 さらにこの時期は、言わずもがな、文科省関連科研費の申請時期。制度の変更は毎年何かしらなされますが、今回私に深く関係ある点として、若手研究(A以下)の年齢制限が、平成2141日現在で39歳以下(若手研究S42歳以下)に緩和されたことでしょうか。まだギリギリ出せる・・・この忙しい折、重複応募の制限内でなんとか頑張って「目一杯」申請しました。しかし、なぜこの時期にJSTさきがけ領域会議を開くのか・・・9月の忙しさから引き続き、倒れそうなくらい疲れました。

 ドイツ滞在中から研究交流させて頂いているUniversität GiessenProf. Peter J. Klar研究室の博士課程の学生が、私の研究室に3ヶ月間滞在できることになりました。(たぶん・・・ドイツ側からの「推薦」に対する「受け入れ希望」も回答済みですし、正式な採択通知は「後日」とありました・・・Prof. Peter J. Klar研究室には未だ「連絡無し」みたいで、ちょっと不安です。)DAAD (Deutscher Akademischer Austausch Dienst)JSPSが窓口となって外国人特別研究員を短期間受け入れるプログラムで、開始予定(20091月からです・・・一応)2ヶ月を切って、ちっとも連絡来ないなぁと半ば諦めていたところ、いきなり諾否伺いの形で大学から通知が届きました・・・まぁとりあえず、よかった、よかった。今後もCollaboration続けられれば良いです。

 また、久しぶりにPublication Listsを更新しました。

 

 

34. SSDM2008の聴講メモ     (14 October 2008)

 

 10月から新学期のスタート。北大の銀杏並木も色づき始めました。8月から非常に忙しい毎日が続きかなりバテ気味ですが、これから文科省科研費の新規申請の季節。さらに今学期は教務上の重要案件が集中しており、何かと大変です。

 919()、東京駅サピアタワーで開催された北海道大学工学系イノベーションフォーラムに参加しました。北大の工学系各専攻の研究紹介や産学官連携推進のための企画で、企業に勤めるOBを含め多数の方々が参加されました。急遽代理での参加でしたので、事前のプレゼン資料準備が・・・もう勘弁してくれという感じでした。しかも台風が東京に接近・・・20()に帰りの飛行機が飛ぶか、冷や冷やものでしたが、19()の夜中に関東沿岸を足早に通り過ぎたようで、まさにミラクル。傘も一度も差しませんでした。

 923()から26()の日程で、つくば市にて開催されたSSDM2008 (2008 International Conference on Solid State Devices and Materials)に参加しました。今回のSSDM40回記念で、あのProf. Simon M. Szeが初日に特別講演を行いました。講演タイトルは”Nanoelectronic Technology: Challenges in the 21st Century”というものでした。初めての聴講でしたが、かなりお歳を召しているはずなのに、とてもよくしゃべるパワフルな先生でした。JSTさきがけ研究に関連して、我々の研究室の修士課程の学生が口頭発表を行い、SSDM終了後、論文をJJAPに投稿しました。そのセッション(Area 8)では、かねてからMOVPEによるSpintronics材料(InMnAs)の研究をされている、Northwestern UniversityProf. Bruce W. Wesselsが招待講演をされました。今回初めて聴講させて頂きましたが、やはりと言うべきか材料研究が中心で、目新しいデバイス応用云々はほとんどありませんでした。まあなかなか難しいですね・・・Si-CMOS技術に勝つのは。当たり前ですが一朝一夕には行かない。まずはとりあえず「補完」技術でしょうか。

 

 

33. 2008年秋季応用物理学会学術講演会の聴講メモ     (9 September 2008)

 

 92()から5()の日程で、秋の応物(愛知県春日井市・中部大学)が開催されました。とっても暑い!名古屋としては涼しい方だったようですが、それにしても暑い!名古屋駅から会場の中部大学まで意外と遠かったので、蒸し暑さも手伝ってかなり疲れました。あの暑さでは、何も集中できませんね。やっぱり札幌はサイコーです。最近の異常気象「ゲリラ雷雨」にも何度と無く遭遇しましたが、そんな中、名古屋駅からも程近い、名古屋城だけは見ることができました。あんな立派な城が空襲で焼けてしまったなんて・・・もったいない。会議では、セッション10.1 (スピン)において我々の研究室の修士課程の学生が講演を行った他、主にセッション15.3 (III-Vエピ)14.2 (超薄膜)13.1 (シリコン)をできる限り聴講しました。ただ、講演時間帯がカブっているセッションが目立ち、とても聴きづらかったです。セッション15.3 (III-Vエピ)は今回「ショープレ」+「ポスター」発表だったのですが、ショープレ5分って・・・長すぎでしょう。通常の口頭発表10分と、それほど変わらない。はっきり言って要らないです。

 

 

 また、827()28()の両日、我々のセンター恒例の「夏ゼミ」をニセコいこいの村で行いました。大学の教務関連の日程に大幅な変更があったことが一番の要因ですが、学会の予定など様々な理由で、今年は12日での開催となりました。来年はまた23日に戻す予定ですが、12日で良いのでは??との意見を持っている方もいらっしゃるようです。12日では短すぎてわざわざニセコに行くのも・・・じゃあ、定山渓くらいがちょうど良い??・・・だったら、セミナー室でやるのと変わりない・・・じゃあ、意味無いし止めよう・・・という感じ。私としては、23日くらいの日程がわざわざニセコまで行く、程よい長さのような気がします。発表のスケジュール自体も若干「詰め込み過ぎ」の感もありましたし、もう少し「ゆとり」を持ってもバチは当たらないでしょう。

 

 

32. ICEM2008の聴講メモ     (8 August 2008)

 

 HP開設3年目突入。なんとか1ヶ月ちょっと毎の更新を続けています。

 727()から81()の日程で、Sydney, Australiaで開催されたICEM 2008に参加しました。世界13カ国・地域の「MRS」で組織されたIUMRS主催による電子材料に関する国際会議で、アメリカで半年毎に開催される通常のMRS Meetingと同様のスタイルで開催されています。主催者の発表によると、51カ国から1,000件以上の講演が行われたとのことですが、いかんせん「本家」MRSの(たぶん)1/41/5程度の参加者数であるにもかかわらずSymposium数が20もあるため、Session毎の聴講者数があまりに少なく、閑散とした感じでした。Session当たり20名も参加していれば盛況な方という感じです。中には1日から1日半で終了するSessionもあり、投稿論文の少ないSessionは統合して、パラレルで開催されるSession数をもっと減らすべき、という印象を受けました。プログラム・実行委員会の完全な失敗ですね。ナノ関連のSymposium Eも雑多すぎです。数少ない半導体ナノワイヤ関係の講演は、いくつかのSymposiumに散らばっていて非常に聴講しづらかったですし・・・。Sydneyというとても魅力的な都市での開催も、聴講者数の減少に拍車をかけたのではないでしょうか。そんな中Plenary Session5名の先生方のご講演は、とても楽しく拝聴させて頂きました。C60Nobel賞を受賞したProf. Sir Harold W. Krotoや、あのProf. Mildred S. Dresselhausのお話も大変興味深いものでした。今回は私にとって、初の南半球。北の空に太陽があるのが、違和感いっぱいでした。ちょうど真冬のSydneyでしたが、春秋物のジャケットを羽織るとちょうど良いくらい、札幌の4月〜5月頃の気候でしょうか。とても快適でした。ただ物価が非常に高い!全く現実を反映できていない公務員の出張費算定基準では完全に赤字。出張ビンボーです。Sydney Kingsford-Smith国際空港から市街地までは、エアポートリンクという列車を使ってせいぜい15分なので、全体的に交通の便はとても良かったのですが、やはり国際線の航空機は疲れます・・・帰りの便の成田着が遅れたため、土曜日のうちに札幌までたどり着くことができず、結局「また」日曜日まで潰してしまいました・・・ホンと疲れました。最近では出張時のマイレージの取り扱いを巡り一部で大騒ぎしていますが、出張する側の我々としては、お気楽な海外旅行客と一緒くたにさせられて(予約すら取りづらいですし・・・)、ただでさえビジネス客「専用便」を別途飛ばして欲しいくらいなのに・・・仕事で行かなければならない出張くらい心身ともに「負担」無く、できる限り快適に行かせて欲しいものです。「海外に行けるだけ良いじゃない」などというくだらない妬みは要りません。何度も言いますが、ホンと疲れます。土日も潰れ、身体が休まらず最悪です。

 また、77()から79()の日程で、G8北海道洞爺湖サミットが開催されました。別に私が参加した訳ではありませんが・・・ものすごい警備でした。日本の各都道府県の「警察」が一堂に会した感じで、ある意味とても楽しめましたが。札幌市内でもアフリカ諸国の首脳会議などが開催され、VIPの通り道となる高速道路入口までの一般道全てを警備する関係だったのでしょうが、ある晩遅く、北大通り1ブロック毎に警官が柵を立てて常駐している光景はとても異様でした。G8各国の経済的影響力の相対的低下から、最後の日本開催になるだろうなどと一部で揶揄されていましたので、その「最後のサミット」を体感できてとても貴重な経験でした。

 Sydneyの素晴らしい景色のごく一部は、My Favoritesにもアップしました。また、Publication Listsも更新しました。

 

 

   

31. ICMOVPE-XIVの聴講メモ     (2 July 2008)

 

 61()から6()の日程で、Metz, France で開催されたICMOVPE-XIVに参加しました。フランスでの開催のわりに参加者数は伸びず335名。国別では、ドイツ82名に続いて日本は57名で2位でした。ちなみに開催国は4位の39名。相変わらず、日本人「おそるべし」です。半日のOral SessionPoster Sessionで、半導体ナノワイヤ関連の発表も「常連」から多数ありましたが、内容的には我々のものが「ダントツ」の印象を受けました。半導体ナノワイヤに関しては、MOVPE「素人」の研究人口が圧倒的に多いので仕方の無いところですが、明らかにMRSの方がより高いレベルで興味深い発表が沢山ありますね。またICMOVPEMore Than Mooreを意識してか、Si基板上の化合物半導体成長に関する発表が益々花盛りでした。半導体スピントロニクスは相変わらずMinor。何がやりたいのかよく分からないスロバキア・ブラチスラバやドイツ・ベルリンのグループがOral Presentationで、やっぱり「政治」なんだなぁと感じずにはいられませんでした。まぁ私がもっと「ダントツ」の成果を出せていないのがダメなのでしょうけど・・・彼らはあれで何をやりたいのだろうと「毎回」思います。Metzは小ぢんまりとした、とても気持ちの良いきれいな町でしたが、スッキリ晴れなかったところが残念です。フランスの誇るTGV。広大な「田舎」を騒音問題も何も考えずに力技で通しているだけでしたね。線路はどこまでも真っ直ぐ。降り立ったGare Lorraine TGVのあまりの田舎さにボー然・・・無人駅みたいなところでした。東部路線TGV-Est20076月に開通したばかりのはずなのに、車両は古臭いし狭いし・・・快適なドイツのICEや、トンネル・カーブの多さを克服した日本の新幹線技術が一枚も二枚も上手でしょうね。以前乗った、パリ−ロンドン間のEuro Starの方が楽しめたなぁ。次回のICMOVPE-XV (23-28 May, 2010)は、アメリカのLake Tahoe, Nevada・・・どうしてココなの??ビミョーな場所です。もう田舎は止めてくれぇ!!行くのが大変・・・EW-MOVPE-XIII (7-10 June, 2009, Ulm, Germany)の方がいいかな。

 

 

 614()15()の両日、京都国際会館で開催された第7回産官学連携推進会議に参加し、我々のセンターの研究活動を紹介しました。この会議のための準備期間がICMOVPE-XIVの出張とかぶっていたので、ICMOVPE出発直前・帰国直後の推進会議用ポスタ作り、とても大変でした・・・体調も最悪です。この時期の京都、暑さを覚悟していましたが、朝晩は意外と涼しく比較的快適でした。ずっと缶詰であまり関係なかったですが・・・。会議中は、我々の展示室だけ風通しが悪くとても暑かったので、正直、結構疲れました。また今回、所属機関ごとに「ひとまとまり」で展示ブースを配置したようですが、例えば北海道大学としては、もちろん有効な方法かもしれません(大学としては最大規模だったようで、来場者は圧倒されていました)。ただ出展者・見学者にとっては、全くもって非効率的。最悪です。技術内容・専門分野ごとにある程度分類してブースを配置しないと、あれだけの数の出展を網羅できません。展示説明の合間に、探して見て回る気すら起きませんでした・・・。

 また626()27()の両日、日本学術振興会第131委員会の研究会が釧路で開催されました。「スピンエレクトロニクス・スピンダイナミクスの最前線」という関連の深いテーマでの研究会でしたので、大変興味深く聴講させて頂きました。今後の研究を進めるにあたって、大変有意義な議論でした。プロペラ機、久しぶりに乗りました。天気は良好でしたので、揺れもせず快適。高度4,000mからの景色を楽しむことができました。釧路行きの便数は意外と多く、JALグループで17往復。乗った便も満席だったので、いい加減、ジェット機にしたら?という感じもします。

 

 

30. さきがけ領域会議     (23 May 2008)

 

 424()25()に金沢で開催された、第4回さきがけ領域会議に参加しました。2期生の私は今回2回目。順調に進展している成果だけではなく、これまでの過程で浮き彫りになった課題も含め何でも報告できる場で、様々なコメント・アドバイスを頂けます。このさきがけ研究の機会を活かしてうまく成果に結び付け、次につなげられたらと思います。最初の研究目的から逸れて行きそうな研究報告に偏ると、厳しく釘を刺さすコメントを頂戴することもありますので、常に意識して、軌道修正しながら研究を進める必要があります。また、さきがけ研究者の間での共同研究に発展するなど、とても良い雰囲気の会議だと思います。ただこれまでの1期生・2期生とも、採択された研究分野に偏りがあり、私としてはもっと半導体・磁性体などの固体無機材料関連の研究テーマを採択して欲しいと強く感じています。領域アドバイザの先生方には「その筋の」方々が大勢おりますし・・・お願いします。次回は10月末に開催予定です。

 727()から81()の日程で、Sydney, Australia で開催されるIUMRS-ICEM 2008AbstractOral Presentationとして採択されました。会議のWEB Systemの不調で間違った情報が何度も送信されたようで、採択通知が遅れました。私のところに届いたメールも二転三転。初めOral、次はPosterに訂正され「これまでのメールは全て無視してくれ!」というアナウンスの後、最後Oralで落ち着きました・・・。一方、来週に迫ったICMOVPE-XIV (Metz, France)の準備がなかなか思うように進みません。色々と忙しくて・・・。

 また、この春卒業した修士課程の学生がSSDM2007ProceedingsとしてJpn. J. Appl. Phys.に昨年投稿した論文と、その他いくつかの共著論文がPublishedされましたので、Publication Listsを更新しました。

 

 

29. 新年度が始まりました     (21 April 2008)

 

 4月に入ってもなかなか静まらなかった冷たい風もようやく止み、ようやく暖かくなってきました。ただ、先週後半からの20超という気温は異常。札幌の6月中旬の陽気だそうです。

 327()から30()の日程で、春の応物(千葉県船橋市・日本大学)が開催されました。これまでのスピントロニクスの合同セッションが昇格した大分類分科において、我々の研究室の修士課程の学生が講演を行った他、主にセッション15.3 (III-Vエピ)14.2 (超薄膜)をできる限り網羅し聴講しました。3月下旬は全国的に暖かい日が続き、関東地方でソメイヨシノが満開でとても綺麗でした。

 62()から6()の日程で、Metz, France で開催されるICMOVPE-XIVAbstractPoster Presentationとして採択されました。我々の研究室からは、学生の発表も含め計4件(いずれもPoster Presentationですが)採択されました。

 また、414()から17()の日程で、東京・一ツ橋メモリアルホールで開催されたINC-4 (4th International Nanotechnology Conference)に参加し、ナノエレクトロニクス研究に関する最新の動向調査を行いました。日米欧の研究者はもちろん、産業界・政府関係者が集まり、幅広いナノテクノロジに関する世界的研究開発情勢・国家的プロジェクト等について広く報告・議論する国際会議で、少々雑多すぎる感もありますが、非常に刺激を受けました。SessionのタイトルからしてMore Moore, Beyond CMOS, More Than Mooreですから、広く可能性を議論するためには雑多にならざるを得ませんが・・・。10周年を迎えた国際半導体技術ロードマップ委員会(ITRS)Chairman、クリントン元大統領によって2000年に設立されたアメリカ・国家ナノテクノロジ戦略(NNI)Director等「すごい」顔ぶれも大勢集まり、主催者・スポンサーもとても豪華。まぁ「我が国のプロジェクトは○○兆円」といった各国「自慢話」も仕方ないところでしょうか。

 久しぶりにPublication Listsを更新しました。in pressの状態からなかなか変化がなかったJ. Cryst. Growthの論文がようやくPublishedされました。

 

 

28. RCIQE International Seminar開催     (10 March 2008)

 

 2月は博士公開論文説明会に始まり、修士論文・卒業論文発表会と、重要イベントが目白押しでした。ほかにも重要な教務関連・事務関連の仕事をいくつかこなし、正直かなり疲れましたが、その中で6月に開催される国際会議ICMOVPE-XIV (Metz, France)および、7月に開催される電子材料に関する国際会議ICEM2008 (Sydney, Australia)に、なんとかAbstractを投稿できました。2月までは天候も極寒・大雪、大荒れ続きでしたが、3月に入ったとたん急に穏やかな暖かい晴天ばかり、既に春到来といった感じで「忙しさ」と共にようやく一段落です。

 先週33()4()の両日、北大・学術交流会館において2008 RCIQE International Seminarを開催しました。我々に関連する分野では、半導体ナノワイヤやスピントロニクス研究などに関して国内外から著名な研究者を招待し、興味深い最新の研究成果発表・活発な議論が行われました。スピントロニクス関連の分野では、学外から東大・田中雅明先生をお招きし、Sispin-MOSFETに関してご講演頂きました。私も研究成果の一部を紹介させて頂きましたが、如何せんprematureなものばかりですので、とても気が引けました。まだ始まったばかり、比較にもなりませんが、今回は「そういえば、こんな奴がいたなぁ」くらいの印象を持って頂ければいいかな、という感じです。例年行われていた2月上旬は、上記のように、大学の教務関連イベントで日程が詰まっているため、今年度より3月上旬に時期をずらしての開催となりました。雪祭りの時期から外れてしまいますが、仕方の無いところ・・・まぁ、ただの雪像です。

 

 

27. 2008年スタート     (29 January 2008)

 

 毎年言っている気もしますが、20081月に入ってからの札幌は、厳しい寒さで大雪続きです。まぁこれが本来の姿。昨年末が穏やか過ぎました。

2008年しょっぱなから「やらなければならないこと」に振り回されてしまいました・・・コマゴマしたことが多すぎです。

 今年はICMOVPE-XIV (Metz, France)6月に開催されるため、215日締め切りのAbstractに向け、これからまた大変です。もう一つ出席予定の国際会議Abstractも同日締め切りの上、2月・3月の大学は言わずもがな教務関連の重要イベントが盛り沢山ですから、厳しい忙しさが当分続きそうです。

 

 

26. 残すところあと10     (21 December 2007)

 

 今年も残すところ、あと10日になりました・・・早いものです。あとは「クリスマス」後の卒論中間ゼミと忘年会を経て、今年も終わりです。色々な意味で「疲れる」1年でした・・・「やらなければならないこと」で「やりたいこと」が後回しになってしまう。どこの世でも変わらない仕方の無いことなのですが、来年はとりあえずこれを何とか打開したいところです。

 8月にSalt Lake Cityで開催された国際会議US-OMVPE-13に関連してJ. Cryst. Growthに投稿していた論文が、ようやくAcceptedされました。また修士課程の学生が9月に講演したSSDM2007関連でJpn. J. Appl. Phys.に投稿した論文もAcceptedされました。まずはホッとしたところですが、現在推進中のドイツの研究機関との共同研究も含め、磁気的特性評価の面を今後充実させて行きたいですね。新しいプロジェクトも走り始めたところですし「やりたいこと」に集中できるよう、来年はうまく立ち回りたいです・・・少し早いですが、2008年のNew Year Resolutionsってやつです。

 

 

25. ISCS2007の聴講メモ     (19 November 2007)

 

 1015()から18()の日程で、京都大学で開催されたISCS2007 (34th International Symposium on Compound Semiconductors)に参加し、最新の研究動向調査・研究打ち合わせ等を行いました。今回はSpintronicsに関するセッションで、修士課程の学生がMnAs材料のMOVPE選択成長に関するポスタ発表を行いました。10月の京都での開催ということも手伝ってか参加者も多数で、事前参加登録者511名、On-Siteの参加登録者を含めると555名だったそうです。通常のContributed Papers318件、PlenaryInvited Papersを含めた総数は356件と、ISCSとしては盛況だったようです。ただやはり、もういい加減IPRMと合併すればいいのに・・・と参加する度に感じます。

 

 

 115() から7()の日程で、北海道大学学術交流会館で開催された第37回結晶成長国内会議に実行委員として参加しました。今回、一般講演数は120件弱と減少したらしいですが、参加者数は220名を超え盛況だったようです。受付業務をずっとお手伝いしていましたので、ほとんど聴講しませんでした。いかんせん、幅広い「材料系」に関する「結晶成長」現象全てを網羅し、しかも決して規模は大きくない国内会議ですので、自分が関連する分野の中での投稿数が限定され過ぎており、顔見知りだけの「小さな集落」的意識に陥りつつある感が否めません。応用物理学会・結晶工学分科会とのジョイント開催を行うなど「活性化策」が生き残りには必要な気がします。扱う「材料系」がとにかく多すぎます。

 119()に、虎ノ門パストラルホテルで開催されたISASN (International Symposium on Advanced Silicon-based Nano-devices)に参加し、我々の化合物半導体ナノワイヤに関する研究成果発表を行いました。SiCMOS・ナノデバイスに関する議論の中にあって、チャネルに化合物半導体を用いたアプローチやSi基板上の化合物半導体ナノデバイスなどの可能性を幅広く探るという趣旨でしたので、ITRSロードマップのEmerging Technologiesとして、我々のナノワイヤも今後さらに注目してもらえればと思います。

 また113()4()に早速開催された「さきがけ」の領域会議に参加しました。なにしろ朝4:30に起きて羽田行の始発で行ったため、寝不足で頭がガンガンしながらの発表は最悪でした・・・。次回以降は「空港近くの大都市」で開催してくれって感じです。面接選考会では猛烈に厳しい研究総括・領域アドバイザも、領域会議では一転、実に強力なサポータに変わるので、今後の研究では色々アドバイスを頂きながら有意義に推進し、さらにその先に繋げて行きたいです。また研究開始に先立ち101()に、研究設備・施設の見学等「研究者訪問」のため、研究総括・技術参事・事務参事・JST事務担当者の皆さんが来校しました。

 

 

24. SSDM2007の聴講メモ     (1 October 2007)

 

 今日から後期が始まりました。色々な意味で、新たな気持ちでスタートです。

 918()から21()の日程で、つくば市にて開催されたSSDM2007 (2007 International Conference on Solid State Devices and Materials)に参加し、最新の研究動向調査・研究打ち合わせ等を行いました。つくばエクスプレスを初めて利用しましたが、開通のおかげで交通の便がとてもよくなりました。MnAs材料のMOVPE成長に関しては今回、修士課程の学生がスピントロニクスに関するセッションで口頭発表を行いました。今回のSSDMからセッションが新設されたそうで、そのためかPosterも含め発表件数はまだまだ少ない感じです。SSDMはパラレルで行われるセッション数が多すぎで、聴講したい講演を聴けないことが難点です。会期は3日間と通常の国際会議よりも短いのですから、1日延長してパラレルセッションの数を減らしてほしいところです。元々Si系材料・デバイス関連の会議ですが、Si上の化合物半導体成長に対する注目度が増している今、我々にとっても興味深い講演が今後増加すると感じています。来年のSSDM200840周年だそうです。

 また94()から8()の日程で秋の応物(札幌市・北海道工業大学)が開催されたのですが、会期中色々忙しく、地元開催という緊張感のない状況も手伝ってか、座長を務めるセッションの1日しか参加できませんでした。

 

 

23. US-OMVPE-13/ICCG-15の聴講メモ     (31 August 2007)

 

 今回は、以前から気になっていた記述も色々あったので、My Favorites以外のページ全てを(微妙に)更新しました。

 812()から17()の日程でSalt Lake City, Utah, USAにて開催されたUS-OMVPE-13 (held in conjunction with the ICVGE-13 and the ICCG-15)に参加し、最新の研究成果発表・研究動向調査等を行いました。結晶成長に関する3つの会議のジョイント開催だったため、興味深い発表を色々聴けてとても有意義でした。Chairpersonの一人はMOVPEの「重鎮」University of UtahGerald B. Stringfellow大先生で、まさに「お膝元」での開催でした。半導体ナノワイヤに関する発表件数は比較的少なかった印象ですが、Plenary TalkではLund University (Sweden)Lars Samuelson先生が半導体ナノワイヤについてのご講演をされました。また最近ようやくMOVPEMaterials Science関連の国際会議でもMnAs等強磁性体結晶成長に関する発表が「認知」されてきたかなぁ、という感じを受け始めています。質問もたくさん頂きましたし。Spintronicsとしてはまだまだ本当に未熟ですが、何とかナノ構造・材料・結晶成長関連の学会では先頭を走りたいです。このところ予定が立て込んでいて正直とても疲れました・・・しかも国際会議の日程がお盆の海外旅行の出入国ラッシュと重なったため、成田空港はとんでもない状況で・・・と思っていたのですが、成田空港はとてもスムーズ。米国内の空港の方がどう考えても混んでいて疲れました。まぁでもやはり、この時期の旅行客の多さを考えると、1週間くらい日程をずらしてくれれば精神的にももっと楽なのに・・・アメリカ人にお盆なんて関係ないので言っても無駄ですけどね。

 また821()22()の両日、我々の情報科学研究科の大学院入試が行われました。関連する研究室の学生が例年以上に多数受験しましたので、進学後はさらにアクティブに研究してくれるよう願っています。

 

 

 

22. EMS-26参加     (24 July 2007)

 

 HP開設2周年です。今後も簡素に、凝らずに続けて行きます。

 74()から6()の日程でラフォーレ琵琶湖にて開催された、第26回電子材料シンポジウム (EMS-26)に参加しました。今回も実行委員としての参加だったため、会期中聴講どころではなくとても疲れました。来年の第27回は同時期、72()から4()の日程でラフォーレ修善寺にて開催される予定です。今回参加者が過去最高の258名(論文数151件)を記録したこともあり、会場規模の点からも伊豆近郊の新しい会場での開催になるとのことです。

 5月中旬に応募していたJST-PRESTO平成19年度「さきがけ」研究の書類選考結果の通知が昨日届き、731()81()の両日開催されるヒアリング審査になんとか進むことができました。Step-by-Stepですが進展しています。今年はアイディアを練り「非常に」気合いを入れて申請していますので、後はヒアリング審査でより多くの研究総括・領域アドバイザの方々に認めてもらい、採択されればと思います。4月以降とても忙しく体力的にも正直かなり辛いのですが、ここはまさに踏ん張りどころ。アイディアを具現化するためにも、頑張らねば。

  

 

21. EW-MOVPE-XIIの聴講メモ     (18 June 2007)

 

 63()から6()の日程でBratislava, Slovakiaにて開催されたEW-MOVPE-XII (The 12th European Workshop on Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)に参加しました。以前のPoster Presentationsでは必ずセットになっていた「うっとうしい」Short Presentationsはさすがに無くなっていましたが、Poster会場(単なるロビー)のスペースが狭くて・・・ボードもA0サイズよりも微妙に小さいし。しかも、プログラム委員が理解していないのかAbstractを読んでいないのか、全く関係のないセッションに入れられてしまいました。まぁそのおかげで、半導体ナノワイヤ・量子ドット等のナノ構造関連セッションを回ることができ、十分ディスカッションもできました。発表件数89件中、半導体ナノワイヤ関連の報告は5件、スピントロニクス関連の報告も私の論文も含め5件ありました。毎回興味深い発表がいくつもあるのですが、いかんせん「こぢんまり」とした会議ですので投稿する人が限られている感は否めません。ヨーロッパで行われる他の国際会議とジョイント開催できないものでしょうか。もちろん敢えて主催者側が「こぢんまり」と開催しているのかもしれません・・・深く議論できますしね。ただ会議の方向性を間違えると、顔見知りだけの「小さな集落」的意識に陥りかねないので注意してほしいものです。会議には知り合いも何人か参加していましたので、情報交換・ディスカッション等有意義な話ができました。今回のBratislavaは初の旧東欧出張で、交通の便・治安・食事・言葉等様々な面で若干の不安はありましたが、実際にはとても良い町でした。雷を伴った突然の土砂降りが何度かありましたが、それ以外はカラッと晴れて良い天気でしたし、ビールもおいしかったです。ただ札幌から3回乗り継ぎの長旅で、非常に疲れる出張でした。来年Metz, Franceで開催されるICMOVPE-XIVについて具体的なアナウンスがあり、何とか論文を投稿できればいいなぁと思っていますが、ドイツとの国境に程近い町で、主要空港からの交通の便があまり良くなさそうな点が気掛かりなところです・・・パリのシャルル・ド・ゴール国際空港からはTGVだけで行けるようですが。

 

 

 

20. 外部競争的研究資金     (16 May 2007)

 

 数ある「くぐるべき登竜門」の1つ、JST-PRESTO平成19年度「さきがけ」研究(515日正午締切)に応募しました。今年はアイディアを練り「非常に」気合いを入れて申請書を作成しましたが、領域アドバイザの方々がどのように判断して下さるのやら・・・毎年かなりの狭き門なので、こればかりは何とも言えませんが、今年こそは何とかチャンスを頂きたいものです。締め切りまでの間、当然、他にもやらなければならないことが山ほどあり、「さきがけ」の研究提案書作りだけに集中することは全く不可能で、最も集中すべき(あるいは「したい」)ことが後回しになってしまいましたが、そんな中でもある程度「満足行く」ものができたと思います。学生の皆さんも、会社に入って職場で求められるものは「マルチタスク」。同時にいくつもの仕事をこなす能力です。忙しいからと言って11つをテキトーに済ませ、出来の悪いものを平気で持ってくるのは言語道断。当然ながら、それでは「仕事をこなした」とは言えません。日ごろから仕事の優先順位を意識して、効率良く処理することを心掛けましょう。

 文科省関連科研費の内定通知が4月中旬に通達されました。研究・実験をアクティブに継続していくためには、重複応募ルールの制限内で最大限、外部競争的研究資金に応募・獲得していく必要がありますが、今回新たに申請した萌芽研究は残念ながら不採択でした。採択率およそ10%の萌芽研究はやはり難しい・・・10回申請して1回採択されれば御の字なのでしょうか。

 偶数年は毎回、有機金属気相成長国際学会ICMOVPE (International Conference on Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)が開催される年ですが、それが無い年、奇数年はEW-MOVPEおよびUS-OMVPEが開催されます。今年は3 - 6 June (Bratislava, Slovakia)EW-MOVPE-XIIが、12 - 17 August (Salt Lake City, Utah, USA)US-OMVPE-13 (held in conjunction with the ICVGE-13 and the ICCG-15)が開催されます。共にAbstractを投稿し、先月無事、採択通知が届きました。特にUS-OMVPE-13では、MnAsMOVPE選択成長の実験結果についても初めて(国際会議レベルで)発表する予定です。これらの国際会議とは別に、修士課程の学生にも早く彼ら自身の論文を書かせ、投稿させなければなりません。それにしても旧東欧Bratislavaへの飛行機の乗り継ぎが悪すぎで、現地に簡単に辿り着けません・・・予約しただけで、既にかなり気が重くなりました。ドイツ滞在中EW-MOVPEに初めて参加した時にもほとんど日本人はいませんでしたし、欧州以外の参加者はあまり想定していないのかもしれません。

 また前回書いた「助教」への配置換の件も含めProfilesを更新し、TOPページの表示・リンク等も若干変更しました。

 

 

19. 2007年春季応用物理学関係連合講演会の聴講メモ     (9 April 2007)

 

 新年度がスタートしました。今年度は周囲の環境変化が非常に激しく、かなりバタバタした感じです。こういう時には、実験中大きな事故を起こさないよう気を引き締める必要があります。いつも言ってはいるのですが、慣れてきた頃が一番危ない・・・学生の皆さんも今一度、当たり前にやってきたことに十分気を配って欲しいものです。ところで、既に中央教育審議会でも決定していた新しい「職制」が北大でも導入され、3月の書類による資格審査を経た後41日付けで「助教(Assistant Professor)」なる職に配置転換したようです。これまでの「助手(Instructor: 正式な英語名はこれだったらしい。ダサって感じです・・・)」が「助教(Assistant Professor)」と「助手(Research Associate)」に分けられ、職務・職責自体も区別されることになったのですが、まあ「実質」何も変わらないです、これまでやってきたことと・・・職務の級号俸も変わらないですし。

 327()から30()の日程で、春の応物(神奈川県相模原市・青山学院大学)が開催され、成果発表・情報収集等のため参加しました。スピントロニクス関連の合同セッションEにおいて講演を行った他、主にセッション13.3 (III-Vエピ)12.2 (超薄膜)をできる限り網羅し聴講しました。ただ3月中は色々と非常に忙しかったため、自分自身の発表は準備不足の感が否めませんでした。まあ忙しくない時はないので、単なる言い訳です・・・今回初めて、MnAsMOVPE選択成長の実験結果についての(全国大会レベルでの)発表を行いました。

 また312()から17()の間、ドイツに滞在しました。兼ねてより共同研究の準備を進めてきたProf. Dr. Peter J. Klar (University of Giessen, Germany)の研究室に急遽出張・訪問する機会があり、研究打ち合わせ・講演・研究室(5箇所)見学など今後の研究に向けて有意義なディスカッションを行うことができました。彼がMarburgからGiessenに教授として異動して以来最初の訪問ということもあり、その点でも非常に意味のある出張でした。自己形成MnAs NCsを半導体表面上に持つ構造、選択成長MnAs NCs2次元ネットワーク構造等といった面白いサンプルが出来始めていますし、今後どういった構造を作製・評価していくかについても十分議論することができました。人的交流も含め長期的な研究協力が期待でき、今後が楽しみです。

 J. Magn. Magn. Mater.に投稿していた論文がようやく3月下旬On-Line Journalsで公開されましたので、Publication Listsを更新しました。昨年夏に京都で開催されたICM2006の特集号でしたが、それにしても長かった・・・Acceptedのメールが届いてから7ヶ月。やる気あるのだろうか・・・。

 

 

18. 21COE International Symposium開催     (8 March 2007)

 

 我々の大学院情報科学研究科に関連する21COE Program最後のThe 4th International Symposium on Ubiquitous Knowledge Network Environment35()から7()の日程で、札幌コンベンションセンタにおいて開催されました。ハードに関連する研究・事業を推進するサブグループ”Quantum Nanoelectronics Technologies”では、我々に深く関わる研究テーマとして、半導体量子ナノ構造の物性研究をリードするグループの1つであるDelft University of Technology (the Netherland)から、Valery Zwiller先生をお招きして最新の研究成果をご講演頂きました。

 例年2月初旬から中旬にかけての時期は、博士後期課程3年生・修士課程2年生・学部4年生の公開論文説明会が「順番」に開かれます。毎年同時期に我々の研究センタのRCIQE International Seminarが開催されるため、公開論文説明会の準備と重なる学生には少しだけ気の毒です。また228()31()の両日には、ニセコグランヒラフスキー場のロッジロンドで研究室恒例のスキー合宿を行いました。参加学生数の減少のため、悲しいかな存続の危機に立たされています。別にスキーが嫌いなら、スキーをせずに「温泉」と夜の飲み会だけ楽しみに行っても良いんですけどね。研究室の皆で行くことに意味があるので。私も今回はあまりの疲労感のため温泉だけ楽しみましたし。まあ考えてみれば、一昔前の会社の「慰安旅行」じゃあるまいし、いまどき・・・って感じなんでしょうかねぇ。大学の教務的な行事等の事情からこの時期の日程調整自体が難しくなってきていることも事実ですし、来年以降は恐らく無くなるでしょう。

 文科省関連科研費に「若手研究(S)」などという研究種目が新設され平成19年度の公募を開始したようです。日本の大型科研費のほとんどは50歳以上の研究者に交付されているという批判に配慮したのか、応募資格は42歳以下に設定され、5年間で総額1億円と「若手」にとってこれまでにない破格の研究種目です。ただし採択数は全国で30件程度と、かなり厳選されたものになるそうで、JSTの「さきがけ」研究などと同様「若手」の「登竜門」的な大型予算になるでしょう。くぐるべき「登竜門」ばかり増えて少しも気の休まる暇がないといった感じではありますが・・・もちろん、目指して頑張ります。

 

 

17. Publication Listsの更新     (13 February 2007)

 

 J. Cryst. Growthに投稿していた論文が1月末ようやくOn-Line Journalsで公開されましたので、Publication Listsを更新しました。今回のJ. Cryst. GrowthICMOVPE-XIII特集号で、毎回国際会議が開催された年内に出版されていましたが、今回は2006年内に間に合わなかったようです。それにしてもElsevier Scienceはひどい・・・。原稿のProofOffprint Order FormCopy Right Transfer Formなどが待てど暮らせどちっとも送られて来ないため、その旨を担当者に問い合わせると、しばらく経ってから突然「○月○日に△△を送ったけど、まだそちらから返事が来ない」などと、問い合わせた内容を明らかに読んでいないメールが(自動的に?)届いたかと思えば、記入した各書類や原稿の訂正を担当者に送付した後でも、随分と経ってから「まだ○○FormProofCorrectionが届かないけど、すぐに返送しろ」などと来るし、Elsevier Scienceの担当者と「Author Gateway」とかいうシステムの管理・運営の関係は、一体どうなっているのやら・・・一流の出版社のやることとは思えないお粗末さです。今回の遅延もやはりCorresponding Authorとの間の、こうした連絡不備に一因があるのでしょうか。「Author Gateway」というシステムもまだまだ不完全みたいで、かなり「しょぼい」です。システム内の「E-mail Alerts」にチェックを入れると、論文のStatusが更新される度にきちんとその旨を伝えるお知らせメールが届くのかと思いきや、システム上のStatus更新から数週間も経ってからようやくノコノコお知らせメールが送られてくるし。なぜ? 遅すぎ・・・ホンと使えない。Statusが更新されてなくても、メール来るし・・・以前も書いたように、Elsevier Scienceは学術雑誌を刊行し過ぎて「てんやわんや」といった感じなのでしょうね・・・11つのJournalをもっと責任を持って「丁寧に」扱って欲しいです。

 28()9()の両日、例年通り、北大・学術交流会館において2007 RCIQE International Seminarを開催しました。半導体量子ナノ構造や、国内でも盛り上がりを見せ始めている(?)半導体ナノワイヤエレクトロニクス研究に関して国内外から著名な研究者を招待し、最新の研究成果発表・活発な議論が行われました。

 

 

16. 2007年スタート     (15 January 2007)

 

 2007年がスタートしました。しかし、今年の札幌はいまだ雪が少ない・・・先週頃からようやく真冬日が続き始めましたが、それまでは1月でも暖かい日が続いていましたし、大丈夫だろうか。今年も何てことない「平凡な」1年になるかもしれませんが、色々な意味で今年は少しだけ期待しています。

 昨年末1225日に、学部4年生の卒論中間発表ゼミが例年通り開催されました。終了後そのまま忘年会へと「雪崩れ込む」いつものパターンで、毎回「今年も終わったなぁ」という気分にさせられる行事です。

 また111()12()の両日、第42回応用物理学会北海道支部学術講演会が北見工大で開催され、我々の研究グループからも修士課程1年の学生が初めての学会発表を行いました。私も諸事情で参加しました。その前の週末、成人式の3連休は「爆弾低気圧」のために全国各地大荒れで、北見に無事行けるのかどうかかなりドキドキものでしたが、幸い会期中は好天に恵まれました。しかし何も冬の北海道「ど真ん中」にやらなくても・・・もう少し「季節」を考えて欲しいものです。またいつものことですが、3月末に開催される春の応物(今回は神奈川県相模原市・青山学院大学)の予稿締め切りもあり、我々の年初は常に「師走」よりバタバタした感じです。

 

 

15. 2006 MRS Fall Meetingの聴講メモ     (8 December 2006)

 

 Bostonで開催された2006 MRS Fall Meetingに今年も参加しました。最近はNanowiresSymposiumが春季・秋季ともに設定されるようになったので、やはりMRSは今後も外せない会議です。ただBostonの往復は、JFK空港での乗り継ぎ時間、12月の天候の影響による遅延・欠航など、会議以外の要因でとても疲れるのでちょっと憂鬱です。しかも今回宿泊したMarriott Hotelで、早朝から火災報知機の誤作動で避難命令が出て大騒ぎになったし・・・アメリカに行くのは何かと気疲れします。半導体ナノワイヤ・半導体ナノ構造・スピントロニクス分野に関連するSymposium Q, L, M, Pを中心に聴講しました。今回のNanowiresSymposium Qは、Carbon Nanotubesに関する報告と「入り乱れた」発表であったため、かなり聴き辛かった印象ですが、Carbon Nanotubesに関する材料研究の現状・デバイス応用などについて聴講できたので、それはそれで有意義でした。今回のMRSでもCharles Lieber (Harvard Univ.), Peidong Yang (UC Berkeley)らのグループからの発表がそれぞれ45件ありましたが、Lars Samuelson (Lund Univ.)のグループからは招待講演の1件のみでした。またSi/Ge系ナノワイヤ(Symposium L)ZnO系ナノロッド(Symposium K)に関する発表も多数行われ、特にSi/Ge系ナノワイヤについては、ポストCMOS scalingに向けStanford Univ.IBM等でかなり「まじめな」研究開発が行われている印象です。半導体ナノワイヤの光デバイス応用として今回、Peidong Yang (UC Berkeley)によるNanowire Photonicsと題した招待講演が予定されていましたが、昨年に引き続き本人は現れず・・・代わりに共著者が発表を行っていました。ナノワイヤによるActivePassive素子の集積構造や、Ring LasersOptical Tweezersなどのデバイス応用・光学的特性評価について紹介していましたが、光デバイスについての共通の悩みとして、なかなか「これは」という魅力的な応用・実用化案を提供し切れていないという印象です。

 それにしても忙しい・・・なぜだろう。「半導体ナノワイヤエレクトロニクス」でトップに躍り出るべく来週導入される装置の準備も、これまでとても忙しかった・・・順調に進んでいますが、これからもまだ当分忙しい。まあ研究を進める上で必須の「忙しさ」であれば致し方ないことだと思いますし、ある意味、このような主要装置の準備段階からきちんと携われて幸せなことかもしれません。ただ、こういうところを常に人任せにして自らは一切「手を汚さない」人は、例え研究成果が出ていても全く評価できませんし、信用もできません。自分の事だけをやっていれば良いのであれば、出来て当たり前、成果が出て当たり前ですから。こういう人結構いますけどね、世の中には。学生の皆さんも会社に入って、こういう自分のことしかできない・やらない会社員にだけはならないよう、常に心掛けて下さい。

 

 

14. 外部競争的研究資金     (30 October 2006)

 

 今年も文科省関連科研費の申請時期。常に緊張感を持ち、重複応募の範囲内でなんとか少しでも研究補助金を獲得して行きたいと思っています。もちろんなるべく大型の研究補助金を頂けるよう、それを良いプレッシャーに今後も精力的に研究するつもりです。

 今年度「忙しさ」ピークの第2弾が一段落した9月後半から、比較的実験に費やせる時間を確保できました。とは言え外乱(?)を全く排除して、自分の研究・実験だけに完全に集中できる訳もなく、まだまだ悩みは尽きないといった感はありますが、それも致し方ないところでしょうか。論文にしておきたいデータにも前々からなかなか手をつけられない状況ですが、当面は2006 MRS Fall MeetingBoston, USA)の発表準備をしなければ・・・。

 またICMOVPE-XIIIの際J. Cryst. Growthに投稿した論文がいつの間にかAcceptedされ、現在Elsevier Scienceで校正刷りの準備段階、in pressになったようです。「Revised Manuscriptの電子ファイルを受け取りましたよ」というメールが届いて以来、一切何の連絡もなく・・・これがこれまでのICMOVPEでの慣わしだとしても、Acceptedの一報くらい入れてほしいものです。通常はあるんですから。

 全くの余談ですが、1026()に北海道日本ハムファイターズが優勝し、日本一に輝きました。新庄剛志選手の引退ということもあり大変な盛り上がりでしたが、ファイターズが今後もちゃんと北海道に根付けばいいなぁという感じです。しかし今年は、3月の第1World Baseball Classicでの日本代表チーム優勝を皮切りに松井秀喜選手の連続試合出場記録が5月の左手首骨折により1768試合で止まってしまった「一大事」など、「仕事も手に付かない」程の出来事が色々ありすぎて研究以外のところでも非常に疲れました・・・。

 

 

13. ICM2006/PASPS-4および2006年「秋の応物」の聴講メモ     (15 September 2006)

 

 815()から18()の日程で仙台において開催された、第4回半導体におけるスピン現象の物理と応用に関する国際会議 (PASPS-4)および、820()から25()の日程で京都にて開催された、第17回磁性国際会議 (ICM2006)に参加することができました。これまで「磁性・スピン」に関わる専門の国際会議に参加したことがなく、常々参加してみたいと思っていたため、日本で開催された今回はとても良い機会でした。特に3年毎に開催されるICM2006は、日本での磁性体に関する研究の歴史が古いためか、今回の開催が「京都」であったためか、規模が非常に大きく、参加者総数は2,000人以上、欧米からの参加も多数ありました。Opening Remarksでは日本学術会議・黒川会長のお話の後、小泉首相から寄せられた祝辞が紹介されるなど、なにやら今までにない雰囲気でした。会場も京都議定書が締結された大きなホールでしたし。ただ半導体の「成長屋」としては、なんと言っても門外漢の感が否めず、かなり居心地が悪いものでした。

 829()から91()の日程で、秋の応物(滋賀県草津市・立命館大学)が開催されました。6月の予稿投稿の時期に「色々」とあったため、今回発表自体はパスしましたが、研究動向の調査や他の情報収集等、非常に有意義でした。また、ナノエピタキシに関する研究会の皆様には大変お世話になりました。今後とも、よろしくお願い致します。

 

 

 そういえば7月下旬から参加してきた国際会議の間、727日にAppl. Phys. Lett.から、812日にはJ. Magn. Magn. Mater.から、投稿した論文のAcceptedのメールが届いていました。ようやく北大でのこれまでの結果を、いくつかの論文にまとめることができそうです。Appl. Phys. Lett.の方は既にOn-Line Journalsで公開されたようですので、Publication Listsを更新しました。SubmissionからPublishまで4ヶ月。最近のAppl. Phys. Lett.としてはスピード出版でした。また、6月に投稿した2006 MRS Fall MeetingBoston, USA)のAbstractAccepted通知(Poster Presentation)が91日に届きました。この会議のPoster Sessionは充実しているので、とても気に入っています。今回NanowiresのセッションがFall Meetingでも設定されているので、研究動向調査としても重要です。色々な意味でこれからが大変ですが・・・。

 仙台はともかく、京都はトロけるような暑さでしたし、会議続きで正直かなり疲労困憊なのですが、今年度の「忙しさ」ピークの第2弾も一段落、といった感じで、ようやく少し落ち着いてきました。2006 MRS Fall Meetingに向けて少し集中できそうです。

 

 

12. ICPS-28およびICN+T2006の聴講メモ     (11 August 2006)

 

 気づいてみると、この個人HPも開設して1年が過ぎていました。月日が流れるのは早いものです。立ち上げ時に書いた通り、今後もこのHPは簡素に。「凝る」気は全くありません。

 724()から28()の日程でオーストリア・ウィーンにおいて開催された、第28回半導体物理に関する国際会議 (ICPS-28)および、730()から84()の日程でスイス・バーゼルにて開催された、2006年ナノサイエンスおよびナノテクノロジに関する国際会議 (ICN+T2006)に参加することができました。ICPS-28は、半導体研究の分野では著名で大規模な国際会議で、物性物理は元より半導体ナノテクノロジ分野の名立たる先生・研究者の講演が数多く行われました。ICN+T2006は、STMの発明から今年25周年(AFM20周年)ということもあり、大変な盛り上がりでした。また今回からSTMNANOに関する国際会議を集約。合同で開催することになったようで、総発表件数1,500件、化学・バイオから金属・半導体・SPM関連と、扱うテーマは少々雑多すぎる感もありますが、半導体ナノワイヤに関する発表も多数行われましたし、「外せない」会議の一つになるかもしれません。共に今回が初めて参加でしたが、この2つの国際会議で研究成果発表・最新の研究動向調査・情報収集を行えたことは、非常に有意義だったと思います。またこの機会を利用して、ちょうどICPS-28に参加していたドイツ滞在中の知り合い(海外共同研究者)とディスカッションすることもできました。私の最新の実験データを基に研究の中身についても詳細に話せましたので、今後の展開が楽しみです。  

 

 

 また87()から9()の日程で、我々の研究室恒例の「夏ゼミ」を今年もニセコいこいの村で行いました。身近な研究室で行われている研究内容について情報交換できる、とても良い機会だと思います。また博士課程在学中の大学院学生に研究会運営を任せる場としてや、修士課程1年生の口頭発表練習の場としても有意義なイベントだと思います。ちなみに1年間滞在したドイツの大学でも似たような「研究会」を毎年行っていて、こちらはポーランドの大学と合同。隔年で開催場所をドイツ−ポーランドと変えて、それぞれの保養地(?)みたいな宿泊研修施設で開催しています。参加者は全員、半日程かけて自動車あるいは列車で移動していました。うちの夏ゼミも他大学と合同で行うとさらに活発なイベントになり、「マンネリ化」も防げるかもしれません。運営や予算面は大変ですけど。今回は海外出張直後だったため、正直ヘロヘロで死にそうでした・・・。

 

 

11. EMS-25の聴講メモ     (12 July 2006)

 

 早くも今年度の「忙しさ」ピークの第2弾に突入、といった様相を呈してきました。その皮切りとして、75()から7()の日程で伊豆長岡にて開催された、第25回電子材料シンポジウム (EMS-25)に参加しました。発表以外のインフォーマルなディスカッションを奨励した、ある意味「研究会」的なノリの会議ですが、半導体結晶成長・物性評価・デバイス応用分野の名立たる先生方・研究者が数多く参加され、有意義な議論が行われました。ただ今回は、会議準備・進行等に追われ、なかなか満足に講演を聴講できなかったことが多少残念です。

 また今年も、11月末頃Bostonで開催される2006 MRS Fall MeetingAbstractを投稿しました。半導体ナノワイヤに関連する講演・ポスタ発表が、アメリカ国内外を問わず近年最も多くなされる会議ですので、最新の研究動向調査・情報収集としても外せないところです。

 

 

10. ICMOVPE-XIIIの聴講メモ     (13 June 2006)

 

 このHPもようやく10回目の更新です。5月は今年度の「忙しさ」ピークの第1弾だったため、この1.5ヶ月間、つい先日まで様々な「重要イベント」があり、かなりハードでした・・・ホンと死にそうです。7月・8月に第2弾がすぐ来ますが・・・。

 522()から26()の日程で、第13回有機金属気相成長に関する国際会議 (ICMOVPE-XIII)が宮崎シーガイアで開催され、この結晶成長分野の名立たる研究者が数多く参加されました。また5月という時期もあり、宮崎もとても過ごしやすい気候でしたが、会期の終盤、Excursionの翌日に九州地方南部が梅雨入りしました。半導体ナノワイヤに関する報告は会議初日に行われ、欧州の「常連」の研究機関からの発表も行われましたが、正直「どこが新しいの? 既に論文になっているのでは?」と首を傾げる内容がほとんどでしたが、全体的には「収穫」の多い会議だったと思います。

 また64()から7()の日程で開催された、米国結晶成長協会主催の第20回結晶成長およびエピタキシに関する会議に参加し、半導体ナノワイヤの形成メカニズムについての招待講演を行いました。Lund Univ. (Sweden)からはWerner Seifert先生やKnut Deppert先生、IBM T.J. Watson Research CenterからはSuneel Kodambaka氏らも出席され、化合物半導体のみならずSiGeナノワイヤに関しても活発な議論を行うことができました。これまで議論になってきた我々のSA-MOVPE手法によるナノワイヤの形成メカニズムについて講演しましたが、SiO2ではなく「酸素」を含まない薄膜(SiNxW)を選択成長マスクにして同様のナノワイヤを形成できれば、ファセット成長であることを信じてもらえるようです。BiochemicalOrganic Materials等の結晶成長に関するトピックスも含んでおり、講演件数が少ない割に、少し内容が「雑多」すぎる会議でしたが、彼らとお知り合いになれたことは収穫でした。また、なんだか知りませんが、ネバダ州とカリフォルニア州の境に位置する綺麗な湖の畔のキャンプ施設で会議が開催されました。休暇で行くには素晴らしい場所でしょうが、会議の際は、現地まで行くのがとても大変で気が重いので、正直止めて欲しいです・・・。体力的にも精神的にも、とても疲れた出張でした

 

 

 4月下旬に投稿していた国際会議ICN+T 2006 (30 July - 4 August, Basel, Switzerland)AbstractOral Presentationとして採択され、5月末日にNotificationが来ました。この会議に合わせて、ドイツ滞在中にお世話になった海外共同研究者とお会いし、私の最新のデータを基に今後の研究についてもディスカッションする予定です。

 

 

9. 国際会議Abstractの採択     (28 April 2006)

 

 4月だというのに「とても」寒かった札幌も、まだちょっとだけ肌寒いですが、ようやく暖かくなってきました。このHPも、どんなに忙しくとも、なんとか月一ペースでの更新を心掛けています。

 1月に投稿した国際会議ICMOVPE-XIII (22 - 26 May, 宮崎)および、ICM2006 (20 - 25 August, 京都)Abstractが、それぞれ31日、419日に採択されました。特に京都は最近全く訪れていないので、国際会議以外でも今からとても楽しみです。暑いですが・・・。このほか今年度はさらにいくつか、重要な国際会議に出席予定です。

 また昨年8in pressになりJ. Magn. Magn. Mater.に掲載予定だった論文が、ようやく8ヶ月近く経った今Publishされたので、Publication Listsを更新しました。それにしても長かった・・・in pressになってから8ヶ月もそのまま放って置かれるって、一体どういうことなんだろうか・・・。そもそもこの雑誌にはin pressの論文が常時600件以上あり、やる気がないのか廃刊寸前なのかは分かりませんが、もう少し真面目に取り組んで欲しいところです。Elsevier Scienceは学術雑誌を刊行し過ぎの感があり、11つのJournalをもっと責任を持って丁寧に扱ってほしいですね。

 例年4月中旬は、文科省関連科研費の内定通知が各部局に通達される時期で、毎年、悲喜交交・一喜一憂、いいように踊らされている感覚ですが・・・大学に籍を置く身として避けては通れない「行事」です。さて今年は・・・Research Interestsにこれまで頂いた外部競争的研究資金の状況を公開しました。

 

 

8. 2006年春季応用物理学関係連合講演会の聴講メモ     (31 March 2006)

 

 322()から26()の日程で、春の応物(東京都世田谷区・武蔵工業大学)が開催され、卒業式シーズンにも関わらず本研究室の学生も多数発表を行いました。私自身は今回GaInAs/InP (111)B面上でのMnAsナノクラスタの自己形成に関し、スピントロニクスに関する合同セッションで発表を行いました。セッションにはこの分野で既に著名な先生方も多数聴講にいらっしゃるため、発表すること自体とても重要なのですが、私の発表に対しても田中先生 (東京大)・宗片先生 (東京工業大)を始め、多くの方々からご質問頂きました。興味すら持たれず完全に無視されたらどうしよう・・・と心配していましたが、まずは「よかった、よかった」という感じです。聴講に関しては上記合同セッションEの他、主にセッション13.3 (III-Vエピ)12.2 (超薄膜)をできる限り網羅しました。ただ今回、裏で行われている関連発表を聴きに行きづらいプログラムの構成も一部ありましたし、「このセッション大丈夫か?」と心配してしまう程かつての隆盛のないセッションも見受けられました。まあでも最近はすぐにセッションをいくつかまとめて「合同セッション」にしてしまいますので、そのためかもしれません。また、桜の王様「ソメイヨシノ」が東京で満開となる時期に重なりそうだったため、綺麗な桜の花を楽しめるかと思いっきり期待していましたが、ちょっと早かったようです。それでも札幌に戻る頃には、早満開(?)の桜の木もちらほら出始め、なかなか見事で、とても綺麗でした。しかしなぜ最近の応物は土日も開催するのか・・・初日・最終日が1日かかってしまうだけならまだしも、とても疲れるので正直止めて欲しいです。しかも今回は祝日までつぶして・・・散々です。

 今日で2005年度が終わり、明日から新年度の始まりです。2006年度は重要なイベントや国際会議への参加が目白押し(の予定)で、楽しみであり不安でもあります。先立つものは研究資金・・・新年度は何とか規模の大きな研究助成金を獲得したいものです。

 

 

7. 21COE International Symposium開催     (6 March 2006)

 

 我々の大学院情報科学研究科に関連する21COE Programの一環として、The 3rd International Symposium on Ubiquitous Knowledge Network Environment227()から31()の日程で、札幌コンベンションセンタにおいて開催されました。ハードに関連する研究・事業を推進するサブグループ”Quantum Nanoelectronics Technologies”では、現在半導体ナノワイヤ研究をリードするグループの1つであるLund Univ. (Sweden)からWerner Seifert先生をお招きして、最新の研究成果をご講演頂きました。我々のMOVPE選択成長に対しては、Oxide-Assisted (Template-Assisted) Growthとの見方を未だ捨て切れていない様子も若干見受けられましたが、我々の成果に関して十分情報収集できたでしょうから、これからはちゃんと論文を引用して下さるでしょう。

 その他Publication Listsのページで、北海道大学学術成果コレクション(HUSCAP: Hokkaido University collection of scholarly and academic papers)へのリンクを張りました。国内外の大学図書館で昨今盛んにシステムが構築されており、Open Access化による論文のVisibilityの向上と、図書館蔵書としての電子コレクションの構築を目的としておりますので、オンラインジャーナルと共にご利用下さい。

 また33()4()の両日、我々の研究室恒例のスキー合宿を今年もニセコグランヒラフスキー場のロッジロンドで行いました。毎年のことですが、ロッジロンドの皆さんご迷惑をお掛けしました。最近はスキーやボードをやらない学生も増えたとのことで、今後は今年のように12日に縮小されるかもしれません。止めることは容易ですが、こういう伝統行事は残して行きたいものです。

 

 

6. 2006 RCIQE International Seminar開催     (13 February 2006)

 

 29()10()の両日、北大・学術交流会館において2006 RCIQE International Seminarを開催しました。現在我々のグループでも関心の深い半導体ナノワイヤに関し、ZnO/ZnMgO系ナノワイヤ(ロッド)の研究を行っているPohang University of Science and Technology (Korea)のグループによる招待講演も行われ、なかなか有意義なセミナとなりました。毎年「札幌・雪祭り」の期間に開催するため、北海道外から招待させて頂く方々には、セミナ以外も楽しんで頂けることと思います。

 また23()には、東京・大手町の経団連ホールで開催された「北海道大学・九州大学21世紀COEプログラム活動報告会」に参加しました。「日本の大学はどうあるべきか?」と題したパネルディスカッションも行われ、とりわけ両大学には興味深い(耳の痛い)意見・期待も多数寄せられました。産業界からは「やる気・問題解決能力の乏しい学生が多すぎる。」「もっと大学教育を何とかしろ。」などの厳しい注文も出ました。しかし、大学を卒業し「夢と希望」を持って就職した先で待っているのは、夢も希望もない単調なroutine-workのみに忙殺される毎日、という状況も少なからず現実で、逆に企業(とりわけ、研究開発部門)が学生のやる気と知的好奇心を満たしていないという見方も否定できません。さらに昨今の企業(あるいは、労働組合)では、従業員の「働きがい向上」を安直に全てひとまとめに「昇給」と結びつけ「金さえ与えていればいい。」という議論・風潮になりがちですが、そうではないことを理解すべきです。企業競争力は、従業員個々人の「やる気」にかかっているのではないでしょうか?大学も産業界もお互い自らの現状をよく顧みる必要がありそうです。

 

 

5. 2006年スタート     (18 January 2006)

 

 2006年がスタートしました。昨年末までは少なかった札幌の雪も年が明けた途端、連日降り続いています。偶数年は毎回、有機金属気相成長国際学会ICMOVPE (International Conference on Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)が開催される年なので、年明けと同時に、春の応物予稿などの締め切りと相まって、Abstractの仕上げ・投稿に大忙しでした。今回のICMOVPE-XIIIは日本での開催(22 - 26 May, 宮崎シーガイア)であることから、我々の研究室もいつも以上に奮って投稿しました。

 北大に移って2年近くが経過し、MOVPE装置立ち上げのゴタゴタからも開放され実験データが出始めたので、今年は実験の他、学会・論文での対外発表や海外共同研究をさらに精力的に行ないたいと思っています。半導体ナノテクノロジに関連する国際学会の数は今や膨大で、著名かつ、発表することが有意義な学会を選択し、効率的に参加することが重要となっています。しかし全ては競争的研究資金獲得に依存しているのが実情で、こちらも精力的に応募・獲得する必要があるのですが、獲得にはある程度魅力的な成果・実績が必要で、そのためにはある程度研究資金が必要で、そのためには・・・と、特に「実験屋」としては「成果と投資」に多少ジレンマを感じます。

 またPublication Lists中のPDFアイコンから当該論文(もしくは、そのAbstract)を閲覧可能なリンク先の一部を変更しました。

 

  

4. 2005 MRS Fall Meetingの聴講メモ     (8 December 2005)

 

 毎年秋(といっても12)Bostonで開催される2005 MRS Fall Meetingに参加しました。掘り出し物(?)の興味深い発表がいくつもあり、また12月という季節柄、Bostonの町がクリスマス一色で雰囲気が良いため、好きな学会の一つです。「電話帳」のようにとてもかさばるAbstract Bookは今も健在ですが、最近はSearchable CD-ROMなるNew Optionもあり、ちょっとは進歩したようです。

 大きな研究領域になりつつある半導体ナノワイヤに関する講演が多数行われ、この分野(Session O, P, R, EE)を中心に聴講しました。この分野で既に有名なCharles Lieber (Harvard Univ.), Peidong Yang (UC Berkeley), Lars Samuelson (Lund Univ.)らのグループからの報告も多数ありほぼ全てを聴講しましたが、全体的な印象としてMRSという日本の「応物」的な様相の学会のためか、既に報告されている内容に若干の「付け足し」のみなされたものがほとんどでした。また単独でInvitedされているにもかかわらず、グループのPh.D.学生が発表するという状況で、権威ある有名国際学会でのInvited Talkとは異なる状況です。しかし以前から感じていた通り、Materials Researchに関する非常に大きな学会であるため、常に参加し情報収集・宣伝活動を行うことは必須であると思います。半導体ナノワイヤはこれまで、金属微粒子を触媒として用いたVLS(Vapor-Liquid-Solid)成長という手法により作製されてきました。上に挙げた「有名どころ」も、皆同様。VLS成長が99%といっても過言ありません。そのためか、VLS成長から半導体のエピタキシャル結晶成長分野に参入した研究者も少なくないようで、MOVPEそのものについては全くの「素人」、原理・基礎を知らない研究者も多々見受けられ、私のPoster Presentationの際にはMOVPEの基礎と歴史を説明したほどです。このため我々の研究室が行っているMOVPE選択成長技術が、半導体ナノワイヤの分野ではMinority扱いされ、ナノワイヤが金属触媒を用いず「生える」こと自体信じてもらえない場合もあり、宣伝活動の必要性を痛感しました。しかし裏を返すと、これがOnly Oneになるチャンスとも言えますし、なんとか世界に認知させトップに躍り出たいものです。

 また余談ですが、我らが松井秀喜選手率いるNY Yankeesの宿敵・Boston Red Soxの本拠地ということもあり、朝8:00から夜23:00まで行われるタフな学会でしたが、合間を縫って今回は、会場近くにある「Home of The Boston Red SoxFenway Parkの視察も行いました。BostonはアメリカのTVドラマ「Ally McBeal」の舞台でもあり、とても雰囲気の良い町です。

 

 

 我々の研究室のMOVPE装置(通称、F/S)の写真をResearch Interests - Experimental Toolsに載せました。主に私が使用している装置で、2004年度の装置改造後はリアクタ2本、研究テーマごとに使い分けて頑張っています。またMy Favoritesにも新たに写真をいくつか加えました。

 

 

3. Publication Listsの更新     (6 October 2005)

 

 Publication Listsに最新の論文を追加致しました。J. Magn. Magn. Mater.に掲載される論文は(in press)GaInAs薄膜中のMnAsナノクラスタ11個に対し、磁気光学極カー効果と結晶構造に起因する複屈折をNSOMにより評価した結果に関するものです。私が結晶成長したサンプルはMnAsナノクラスタ間の距離が〜100 nm以上あるので、NSOMによる個々のクラスタの評価が有効です。

 

 

2. 論文のPDFファイル     (22 July 2005)

 

 Publication Lists中の一部の論文について、PDFファイルを開けるように修正しました。On-Line Journalsで閲覧可能な論文とともに、IOP Conference SeriesIPRMなど、国際学会のProceedingsも閲覧可能です。

 

 

1. HP立ち上げに当たって     (8 July 2005)

 

 Research Center for Integrated Quantum Electronics (RCIQE), Hokkaido University内に個人HPを立ち上げました。個人的なものとはいえRCIQE内ということですので、私自身の研究活動に関する情報、具体的には、興味のある研究分野・これまでの研究歴・発表した学術論文・参加した学会で得た興味深い情報など、academicな内容を中心にHP上で紹介したいと思っています。今後、種々雑多な内容はこの「Monologue」のページに書き込むつもりですが、HPは全体的に簡素なものにする予定です。

 

 最初は私の研究活動における「大局的な信条」、というと少々大げさですので、目指すところ・姿勢・希望といったことを書きます。

 日本人の平均寿命が延びたとは言え(2004年は、男性78.6歳、女性85.6歳だそうです)、人間一個人がその一生のうちで人類の繁栄に貢献できる度合いは、極めて限られたものであると常々思っています。だからといって「あきらめろ、何もするな」と言っているのではなく、「それなりに貢献できればなぁ」くらいに思っています。研究開発には一般的に、短期的な視点で行われる、より実用化に近いものと、長期的な視野で、さらに先の未来に向けた基礎研究に近いものに大きく分けられると思います。前者は主に、目に見える利益を上げなければならない民間企業で行われる傾向にあり、後者は、言わずもがな、大学や非営利の研究機関において行われる傾向にあります。今日明日にでも社会の大多数の人間に貢献できる技術を創り出す研究は、一朝一夕に成し遂げられる簡単なこととは思えませんし、例えそれを自らの手で生み出せたとして、短期的には社会に役立った(ように見えた)としても、後世の人類がその長い歴史を顧みたとき、その技術が本当に人類に役立ったものであったか否かということに関しては、やはりかなりの疑問が残ります。もしかすると、そのような技術が原因で人類は衰退してしまうかもしれない。SF映画の世界のようでもあり少々大げさですが、全く無いとは言い切れません。自らの短い人生(?)を考えたとき、少なくとも後世の人々が「あぁこの技術は、過去のこの研究が役立っているのだな」と、「チラっ」とでも思ってもらえるような研究を私は目指したいと思っています。

日本の民間企業の研究開発部門では頻繁に使われる研究の「分類」に、社会の欲求・需要(needs)からtop-downで降りてくる「ニーズ指向」と、研究開発の現場から世の中に新しいものを提案していくための研究の種(seeds)を発掘し、それを「持ち駒」として蓄えbottom-upで上げていく「シーズ指向」というものがあります。私は、魅力的な研究シーズを数多く発掘し後世に残したい。その技術が人類にとって有益なものになり得るか否か、現在生きている人間が事前に「正確に」判断することは非常に難しいことですが、微力ながら、そういった研究を目指しています。